2012 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸がんにおける早期診断マーカーとしての血清中miRNAの探索と解析
Project/Area Number |
24592533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
西 洋孝 東京医科大学, 医学部, 講師 (60307345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | microRNA / 子宮頸がん / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
【目的】近年、ゲノム情報発現系における新たな調節・制御分子としてmicroRNA(miRNA)が注目され、癌の診断、治療に関するバイオマーカーとしても有望視されている。そこで本研究ではこのmiRNAに着目し、子宮頸がんの早期診断を可能とする血清中miRNAの探索・同定を試みた。 【方法】患者の同意を得て採取された子宮頸がん47例、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)64例および、健常者34例の血清からtotal RNAを抽出した。各検体におけるmiR-483-5p、miR-1246、miR-1275、miR-1290、miR-100をrealtime RT-PCR法にて定量解析し、各群間の比較や進行期との相関性を調べた。miR-100の標的遺伝子をin silico解析にて探索し、realtime RT-PCR法、western blot法、luciferase assayにて相関性を調べた。 【成績】miR-483-5p、miR-1246、miR-1275、miR-1290およびmiR-100が候補マーカーとなり、それぞれの子宮頸がん患者血清中の定量値は健常者に比し有意に高値であった(miR-100のみ低値)。また、それぞれの値と進行期が相関していた。miR-100の標的遺伝子としてパクリタキセル感受性遺伝子USP15が同定された。 【結論】血清中miR-483-5p、miR-1246、miR-1275、miR-1290およびmiR-100がは、単独でも子宮頸がんの分子マーカーになり得ると思われた。これらのmiRNA値を組み合わせてスコア化することにより、子宮頸がんの診断や治療の効果判定の一助となると思われる。miR-100はUSP15を通じ、パクリタキセル耐性のメカニズムに関与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体採取に関しては、2年間でコントロール40例、子宮頸がん88例および子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)80例から検体を採取する計画を立てたが、1年間で子宮頸がん47例、64例およびCIN34例の検体を収集できた。ただし、組織検体からのmiRNAの採取は進んでいない。in silico解析による腫瘍マーカー候補miRNAの標的遺伝子の探索は、miR-100に関しての研究成果のみ得られた。この成果は予定よりも前倒しで得られたものである。他のmiRNAの標的遺伝子については今後の課題である。以上、予定以上に進んだ部分とやや遅れた部分が認められるため、おおむね順調に進展していると判断するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き検体を採取し、血清中miRNA発現量と組織検体におけるmiRNA発現量の測定を行う。in silico解析にてmiR-100以外の腫瘍マーカー候補miRNAの標的遺伝子の探索を行う。各miRNAとそれぞれの標的遺伝子の相関性を調べる。最終的な血清中miRNAの発現量と臨床情報の相関性を解析し、子宮頸がんの早期診断や治療効果判定の有用性を検証する。それぞれのmiRNAの発現量の組み合わせも統計学的に解析し、もっとも優れた組み合わせを見出す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①total RNAの抽出やrealtime RT-PCRを行うための各種試薬。②子宮頸がん細胞株に対する核酸の形質導入等における、遺伝子工学的手法および分子生物学的手法を用いた実験のための培養液や各種試薬。③研究成果の発表における学会参加費や旅費。④論文投稿に際しての、英文校正費や投稿費。研究費は①~④等に使用する予定である。
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