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2013 Fiscal Year Research-status Report

好酸球性中耳炎モデルを用いた好酸球性中耳炎の病態解明と治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 24592537
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

松原 篤  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10260407)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 佐々木 亮  弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20451479)
南場 淳司  弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50361027)
Keywords好酸球性中耳炎 / 難聴
Research Abstract

好酸球性中耳炎の問題の一つとして、高率に感音難聴を合併し約6%の患者が聾にいたることが報告されている。我々は、新たに作成した好酸球中耳炎モデル動物を用いて好酸球性中耳炎の研究を進めてきたが(Nishizawa H, Matsubara A, et al. ACTA Otolaryngol, 2012)、このモデルの内耳においては好酸球性炎症によるコルチ器障害が難聴の一因であることを報告してきた(松原篤、西澤尚徳. Otol Jpn 24(1): 45-48,2014)。一方、聾に至った症例では蝸牛に骨化を来たす事が知られており、好酸球性中耳炎の難聴の病態解明には骨化性の病変について検討する事も重要であると思われる。そこで、このモデルを用いて骨化性の病変について組織学的な検討を加えた。
モデルの作成には、Hartley系モルモットを卵白アルブミン(以下OVA)の腹腔内投与により全身感作させた後、右耳に経鼓膜的にOVAを1、2、4週間に渡り経鼓膜的に中耳に連日注入した。左耳は対象側として生理食塩水を注入した。その結果、OVAの投与1週間のOVA刺激側と対象側では、鼓室胞骨壁の厚さに差は認められなかったが、OVAの投与2週間以降では、鼓室胞骨壁の中耳腔側の一部に骨新生が認められ、対象側に比し有意に骨壁が厚くなっていた。また、蝸牛の骨胞も同様にOVAの投与2週間以降ではOVA注入側で骨新生による肥厚が認められた。2週間投与よりも4週間投与により、有意な骨壁の肥厚が認められた。この肥厚は蝸牛の骨胞の中耳側の骨新生によるものと考えられ、内耳側での骨の新生は明らかではなかった。
中耳炎粘膜の好酸球浸潤は、OVA2週間投与以後のモデルで著明に認められており、好酸球性中耳炎では、このような好酸球を主体とする炎症が中耳の骨新生を促し、骨化性の病変を形成する事が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究代表者らは、我々の施設で新たに作成した好酸球性中耳炎モデルを用いて、好酸球性中耳炎の病態解明と適切な治療法確立を目指すべく、本研究を企画したものである。
気管支喘息の際に粘膜下で発現するperiostinは、好酸球性中耳炎モデルでも中耳炎粘膜に発現することが、ヒトの症例でも我々の作成した好酸球性中耳炎モデルでも中耳粘膜下に発現していることを証明できたのは、本研究の大きな成果である。 また、好酸球性中耳炎の重要な病態の一つである難聴については、これまでほとんど明らかにされていないのが現状であったが、我々の開発した好酸球性中耳炎モデルの研究から、内耳にも好酸球性炎症が惹起され難聴の原因となることが推測された。これは臨床的にも極めて価値の高い研究結果であり、第22回日本耳科学会において公募パネルディスカッションに採択され、その要旨が耳科学会誌に掲載された(松原篤、他:Otol Jpn 24(1):45-48, 2014)。また、英文にも受理され、現在印刷中の段階であり、新たな成果を得ることが出来たと考えている。
さらに、好酸球性中耳炎の中耳および内耳の重要な病態の一つである骨化性の病変についても、この好酸球性中耳炎モデルを利用して解析を進めている。これについても第23回日本耳科学会学会での発表を行い、論文の投稿準備中である。
治療法に関しても、難聴の進行が内耳の好酸球性炎症に関わるものであれば、ステロイドを初めとした好酸球性を抑制する薬剤の使用が理にかなっていることが証明されたと思われる。
平成25年度の研究目的は達成されなかった部分もあるものの、日本語の論文の発表、英語論文の受理などの成果を挙げている。また、側頭骨の骨化性病変について病態の解明の新たな進展も見られたことから、総合としてはおおむね達成されたと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

好酸球性中耳炎モデルの中耳粘膜におけるperiostinの局在を中心とした検討や、種々の好酸球性炎症に関する物質に対する免疫組織学的研究は本研究の柱である。さらに好酸球性中耳炎の臨床上の最大の問題点である難聴の病態の解明についても、より詳細に検討を行う予定である。
具体的には、1)好酸球性中耳炎モデルの作成方法の改良。我々が考案した方法はモデルの作成に困難を伴うことが問題である上に、鼓膜に穿孔を来す問題があった。そこで、鼓膜穿孔を来さずに、簡便にモデルを作成し方法を検討する。2)好酸球性中耳炎モデルの聴力の測定と難聴の機序の解明。我々は好酸球性中耳炎の難聴の原因として血管条性難聴が早期に惹起されることを想定しているが、動物モデルのABRなどによる聴力の測定や、血管系についてはCys-LT受容体などの局在の検討、血管径の計測などにより、好酸球性炎症が血管条障害に関わるかどうかを検討する。また。内耳の好酸球浸潤の時間経過など併せて検討しながら、好酸球性中耳炎の難聴の適切な治療についても検討を進める。3)好酸球性中耳炎モデルの骨化性病変の検討。我々のモデルで側頭骨に骨新生による骨化性病変が惹起されることが明らかとなったものの、その機序については未だに不明な点が多い。骨新生に関わる種々の物質の経時的な局在を検討する事により、骨化性病変形成のメカニズムを解明する。
以上のように、このモデルを用いて多角的な研究を進める予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

現有の抗体や試薬などを使用して研究が可能だたっために、これらの物品の購入費が少なかった。また、モデルについても、以前に作成した標本から切片を新たに切り出すなど、最大限の活用を図れたために、物品費の購入金額を低く抑えることが可能であった。
平成26年度は、新たなモデル作成と研究の展開のための試薬、物品費に使用する。
また、研究効率を高めるため研究に可能な項目、切片作成などについては外注も利用し研究の推進を図る。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 2013

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 好酸球性中耳炎における内耳障害2014

    • Author(s)
      松原篤、西澤尚徳
    • Journal Title

      Otol Jpn

      Volume: 241() Pages: 45-48

  • [Journal Article] An experomental study o inner ear injury in an animal model of eosinophilic otitis media2014

    • Author(s)
      Matsubara A, Nishizawa H,et al.,
    • Journal Title

      ACTA Oto-Laryngologica

      Volume: 134 Pages: 227-232

    • DOI

      10.3109/00016489.2013859395

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 好酸球性中耳炎の骨化性病変2013

    • Author(s)
      松原篤
    • Organizer
      第23回日本耳科学会
    • Place of Presentation
      宮崎
    • Year and Date
      20131124-20131126
  • [Presentation] 好酸球性中耳炎の病態2013

    • Author(s)
      松原篤
    • Organizer
      第72回日本めまい平衡医学会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      20131114-20131115
    • Invited

URL: 

Published: 2015-05-28  

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