2014 Fiscal Year Annual Research Report
耳管腺の分泌機構の解明とその制御 =難治性中耳疾患の治療戦略=
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24592539
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大島 猛史 日本大学, 医学部, 教授 (40241608)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耳管開放症 / 耳管腺 / 分泌低下 / 耳管機能検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
中耳・耳管粘膜の分泌制御は中耳炎発症機序の解明、そして、その治療および予防戦略に重要である。ラットから耳管組織を採取し、組織学的に粘膜下に豊富な耳管腺の存在を確認した。さらに、耳管組織の初代培養を行い、豊富な分泌顆粒をもつ耳管腺房細胞を分離できた。耳管組織では水チャネルであるアクアポリンの発現を認め、耳管腺分泌に関与していることが示唆された。 耳管分泌の低下は耳管粘膜表面の粘液線毛機能を低下させ、中耳の感染防御に支障をきたすとともに、耳管峡部での耳管閉鎖不全の一因となると考えられる。耳管開放症の原因として最も多いのはるいそうに伴う耳管周囲組織のボリューム減少であるが、耳管分泌障害も耳管閉鎖障害に関連していることが示唆される。臨床症例での検討では、分泌異常による口腔乾燥をきたすシェーグレン症候群では耳管開放症を合併することがあることもこれを支持する所見である。 耳管機能検査として耳管鼓室気流動態法(TTAG法)は耳管閉鎖不全を検出するのに優れた方法であり、耳管開放症の所見が間欠的に発現することを考慮しても約70%の陽性率を示す。しかし、臨床的にはその機能が搭載された機種は十分に普及していない。それを補完する方法としてインピーダンス法があるが、その波形については現在まで明確な診断基準がなかった。本研究では耳管開放症(疑い例を含む)301耳でインピーダンス法の波形を解析し、TTAG波形と比較検討し3タイプの波形を耳管閉鎖不全の所見として提示することができた。
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