2013 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛発生、機能維持、蝸牛障害におけるセラミド、スフィンゴ脂質の影響の検討
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24592541
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田渕 経司 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80361335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 晃 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10156474)
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Keywords | 内耳 / 耳毒性 / 有毛細胞 |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質は主に動物細胞膜を構成する脂質であり、以前は細胞膜の構成物質としてとらえられていたが、細胞の増殖、機能維持、細胞死に関与することが判明してきた。セラミド、sphingosine-1-phosphate (S1P)等の生理活性スフィンゴ脂質は、癌の発生や各種臓器障害、免疫異常等の疾患において重要な働きを示し、これらの疾患において、創薬ターゲットとして注目されている。 S1Pがゲンタマイシン過剰投与による蝸牛障害において保護的に作用するのに対し、セラミドは有毛細胞において障害進行性に働いた。セラミドの合成経路にはde novo合成経路、スフィンゴミエリンからの変換経路等が知られているが、内耳障害時のセラミド合成についてはその経路がはっきりとしていない。まずセラミドの内耳における合成経路についてそれぞれの経路を検討した。スフィンゴミエリンからセラミドへの変換酵素であるスフィンゴミエリナーゼについては酸性、中性、アルカリ性の3種類が存在するが、特に中性スフィンゴミエリナーゼを中心に検討した。内耳有毛細胞での中性スフィンゴミエリナーゼの発現が確認された。セラミドde novo合成経路の阻害ではゲンタマイシンによる内耳毒性に影響を与えなかった。一方、スフィンゴミエリナーゼ活性はゲンタマイシン投与後に内耳コルチ器において上昇しており、ゲンタマイシン投与後早期の活性上昇に加え、遅発性にも活性が上昇することが分かった。また、スフィンゴミエリナーゼ阻害薬によってゲンタマイシンによる有毛細胞障害を軽減することが確認された。 以上のことからは、ゲンタマイシンにより、蝸牛コルチ器においてスフィンゴミエリナーゼが活性化され、セラミドを内耳内に産生し、これが有毛細胞の障害に強く関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初に予定した範囲の検討がすべて行えている。結果の解釈についても合理的と考えられる。しかしながら、セラミド、スフィンゴシン―1-リン酸以外のスフィンゴシンなどの生理活性リン脂質についてはどうか、等新たな疑問も生じており、今後の検討課題としていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
スフィンゴミエリナーゼの活性化によりセラミドが内耳において産生されてくること、このセラミドが内耳障害を進行させる因子となることが確認された。一方、セラミドの代謝産物であるスフィンゴシン―1-リン酸は内耳障害を軽減することも併せて検討できた。 今後の研究はこれらの生理活性リン脂質の中間代謝物であるスフィンゴシンの内耳における作用、また、本経路のキーエンザイムであるスフィンゴシンキナーゼの内耳における作用について検討を加えたい。
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Research Products
(1 results)