2012 Fiscal Year Research-status Report
人工内耳成績改善と適応拡大のためのトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
24592545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 典生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70378644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平海 晴一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10374167)
中川 隆之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50335270)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60425626)
田浦 晶子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70515345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 内耳 / 聴神経 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の目標は、人工内耳成績不良症例の成績改善と人工内耳の適応拡大をはかるため、予後不良因子の解明と手術時の残存蝸牛有毛細胞の保護手法を含む解決手段を開発することである。そのために 1. 蝸牛神経と蝸牛有毛細胞の保護および再生 2. 奇形における聴神経解剖および遺伝子変異の解明 を行うことを予定していた。本年度は1.については、Insulin like growth factor 1 (IGF-1)が、薬剤による蝸牛の有毛細胞障害を予防するあるいは回復させる作用があることを示し、そのメカニズムが有毛細胞のプログラム細胞死の減少と支持細胞の増殖であることを証明した。また、これらのメカニズム駆動のため、IGF-1受容体が複数のシグナル経路を活性化することを解明した。これらの成果はMolecular and Cellular Neuroscience誌に掲載された。 2.については、まず細胞骨格を構成するタンパク質として様々な臓器に発現しているSeptin7の内耳におけるコンディショナルノックアウトマウスの解析を行い、このマウスの内耳が内耳奇形の一つであるCommon cavity型の内耳と同様の形態であることを見出した。今後は、このマウスにおいて聴神経がどのように発生分布するかを検討する予定である。また、内耳奇形の家系の網羅的な遺伝子解析のため血液サンプルの収集を進め、現在8家族の血液サンプルを入手した。今後はこれらのサンプルから調整したDNAの網羅的な遺伝子解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
有毛細胞の保護因子としてのIGF-1を同定し、かつその作用機序を明らかにできたことで、IGF-1を人工内耳手術時に聴力温存のために使用する薬剤の一つを得ることができた。早くも本研究の目的である人工内耳適応の拡大のためのツールの一つを同定できた。 また、Septin7の内耳におけるコンディショナルノックアウトマウスという内耳奇形のモデルも確立できた。これにより、内耳奇形における聴神経の形態の検討を行えるものと考える。 さらに、内耳奇形の患者および家族の血液採取も想定よりも順調に進んでおり、現在8家族の血液がそろっていて、関連した遺伝子変異を解析する準備も整いつつある状態である。 以上から、当初予定よりも計画は進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したIGF-1の下流で作用している分子を同定することにより、より特異的に内耳有毛細胞を保護する作用のあるあらたな物質を検索する。そのために、マイクロアレイなどを用いた網羅的遺伝子発現解析も行う予定である。Septin7の内耳におけるコンディショナルノックアウトマウスに関しては聴神経の形態観察を発生段階を追って行っていく。 また、血液サンプルのDNA抽出、Deep sequencingも施行していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ解析用ノートパソコンの購入をせず、以前より使用していたパソコンを使用することにしたため、その分次年度に持ち越しをすることとなった。25年度はマイクロアレイなども行うため、これらの試薬やアレイの購入に持ち越し分も含めて使用する予定である。
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Research Products
(13 results)