2013 Fiscal Year Research-status Report
人工内耳成績改善と適応拡大のためのトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
24592545
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 典生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70378644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平海 晴一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10374167)
中川 隆之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50335270)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60425626)
田浦 晶子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70515345)
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Keywords | 耳科学 / 人工内耳 / 内耳奇形 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
本研究の目標は、人工内耳成績不良症例の成績改善と人工内耳の適応拡大をはかるため、予後不良因子の解明と手術時の残存蝸牛有毛細胞の保護手法を含む解決手段を開発することである。そのために 1.蝸牛神経と蝸牛有毛細胞の保護および再生 2.奇形における聴神経解剖および遺伝子変異の解明 を行うことを予定していた。本年度は1.については、昨年度発見したInsulin like growth factor 1 (IGF-1)の蝸牛有毛細胞障害に対する予防・回復効果において関係する下流分子の同定を試みた。網羅的遺伝子発現解析の結果、Gap43とNetrin1のそれぞれのmRNAがIGF-1で処置された障害蝸牛では発現亢進していることが判明し、定量的RT-PCRにて確認された。これらの成果はNeurosciende letters誌に掲載された。 2.については、まず細胞骨格を構成するタンパク質として様々な臓器に発現しているSeptin7の内耳におけるコンディショナルノックアウトマウスの解析を引き続き行い、このマウスの内耳は奇形はあるが、有毛細胞などの感覚上皮は形成されていることが判明した。また、聴神経は形成されている感覚上皮に向けて分布していることも明らかになった。また、内耳奇形の家系の網羅的な遺伝子解析のため血液サンプルの収集を進め、現在10家族の血液サンプルを入手した。今後はこれらのサンプルから調整したDNAの網羅的な遺伝子解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
有毛細胞の保護因子としてのIGF-1の下流でどのような分子が作用しているかを明らかにできたことで、IGF-1よりも特異的に作用する可能性のある、人工内耳手術時聴力温存のための薬剤の候補を得ることができた。特にNetrin1は分泌蛋白でありかつ腎臓などでも障害に対する保護効果があるため、IGF-1に続いて本研究の目的である人工内耳適応の拡大のためのツールの候補を一つを同定できたと考える。 また、Septin7の内耳におけるコンディショナルノックアウトマウスの内耳を解析することにより、内耳奇形では感覚上皮が残っていれば聴神経がその部位に到達することが判明した。 さらに、内耳奇形の患者および家族の血液採取も想定よりも順調に進んでおり、現在10家族の血液がそろっていて、関連した遺伝子変異を解析する準備も整いつつある状態である。 以上から、当初予定よりも計画は進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
IGF-1の下流で作用している分子としてGap43とNetrin1を同定したので、これら内耳有毛細胞を障害からいかに保護しているのかのメカニズムを同定する予定である。それにより、IGF-1よりもさらに効率のよい有毛細胞保護法を開発できるものと思われる。Septin7の内耳におけるコンディショナルノックアウトマウスに関しては内耳奇形のおこる原因の精査、また、異なった時期でのコンディショナるノックアウトを行い、Septin7が内耳の形態形成にかかわる時期を明らかにしたい。 また、血液サンプルのDNA抽出、Deep sequencingも施行していく予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Deficits in microRNA-mediated Cxcr4/Cxcl12 signaling in neurodevelopmental deficits in a 22q11 deletion syndrome mouse model.2013
Author(s)
Toritsuka M, Kimoto S, Muraki K, Landek-Salgado MA, Yoshida A, Yamamoto N, Horiuchi Y, Hiyama H, Tajinda K, Keni N, Illingworth E, Iwamoto T, Kishimoto T, Sawa A, Tanigaki K.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 110
Pages: 17552-17557
DOI
Peer Reviewed
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