2013 Fiscal Year Research-status Report
視覚と頸反射が前庭自律神経反射の可塑性に及ぼす影響
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24592549
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松尾 聡 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40219390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 賢作 鳥取大学, 医学部, 講師 (60252847)
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Keywords | 前庭 / 血圧 / 交感神経 / 体位変換 |
Research Abstract |
前庭器が血圧調節に及ぼす役割を明らかにするため、頸部前屈(neck flection, NF) ・頚部を固定した状態で頭部下方への体位変換(head-down tilts, HDT)を行い、血圧と交感神経活動の変動を観察した。ウレタン麻酔下のウサギでNFとHDT負荷を行うと、血圧が低下した。血圧低下に先立って腎交感神経活動が減少した。前庭を両側破壊すると、前庭が正常であるウサギと比べ、NFとHDT負荷による血圧低下は少なかった。HDT負荷を行うと、圧受容器求心路である減圧神経の活動が上昇したが、NF負荷では減圧神経の活動は上昇しなかった。従って、NFとHDT負荷時の血圧低下は交感神経活動の抑制によって起こり、前庭器が交感神経活動を抑制していると考えられた。慢性実験でNFとHDT負荷によっておこる血圧変動を調べた。覚醒動物では、NFとHDT負荷で血圧の上昇がみられた。前庭破壊群では、この血圧上昇反応は1週間後には起こりにくくなった。これらの反応とその機序について研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
麻酔動物でNFと HDT負荷を行い、交感神経活動と血圧の変動を比べることができた。その結果、NFとHDT負荷時の血圧低下は、1)主に前庭によって起こり頸部受容器の影響は比較的少ないと思われること、2)NFとHDT負荷によっておこるそれぞれの血圧低下の時間経過はほぼ同じであることがわかった。これらの研究の進展は、姿勢変化時の神経性血圧調節における新しい知見である。この結果を用い、姿勢変化時の呼吸運動と内臓運動が血圧調節にどのように関連するか解析を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前庭を破壊すると、麻酔下の頚部屈曲時の血圧変動(血圧低下)は小さくなるが、わずかな低下は起こる。そこで頚筋の筋電図をとり、頚部運動と交感神経と血圧変動の時間的な関係を明らかにしたい。前庭破壊前後でこの時間的関係を解析することにより、前庭と頸部受容器の影響の程度を明らかにしたい。次に、呼吸筋電図と胃平滑筋電図の記録をおこない、NFとHDT負荷時の呼吸、内臓運動の影響を検討したい。ヒトではHDT時の血圧変動が安定して取れないことが課題である。回転台の修正と携帯型血圧用プレチスモグラフィの作製を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
急性実験動物はウサギを用いているが、同一施設内で他のプロジェクトでウサギの余剰があり、動物の譲渡をうけた。このため次年度使用額(134,955円)が発生した。 次年度使用計画としては、動物購入費・動物飼育費に用いる予定である。ウサギ1羽あたり20,000円(管理、飼育費込)を見積もっている。ウサギ7羽×20,000円で計140,000円を計上しており、今年度の次年度使用学をあてたい。
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Research Products
(4 results)