2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592561
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小林 一女 昭和大学, 医学部, 教授 (20234841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野垣 岳稔 昭和大学, 医学部, 助教 (10384463)
野村 恭也 昭和大学, 医学部, 客員教授 (30009948)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 内耳 / レーザー手術 / 良性発作性頭位めまい症 |
Outline of Annual Research Achievements |
良性発作性頭位めまい症は理学療法は有用であるが、中には難治性もある。そのような症例に対し、レーザーを用いた半規管分断術(duct plugging)が行われる。膜半規管を閉塞することが本手術の目的である。レーザーで骨迷路を焼灼し、その際に生じる熱が膜半規管を収縮、閉塞させ、内リンパの動きが止まることでめまいが収まる。本研究の目的はこの手術の臨床応用にあたりレーザー照射で半規管の温度がどのように変化するのか、熱の膜迷路に及ぼす影響、効率のよい照射法を検討することである。 平成24年度はヒト乾燥側頭骨を用いて実験を行った。平成25年度はホルマリン固定後のヒト側頭骨を用い、平成24年度と同様のレーザー照射実験を行った。側頭骨を削り、外側、前、後半規管のブルーラインを確認し、グリーンレーザーを照射した。その際半規管の一部を開窓し超極細熱電対(直径0.08mm)を挿入した。同時に前庭窓にも熱電対を挿入し温度測定を行った。使用したレーザーの波長は532nmである。照射条件は1.5~1.7W、照射時間は0.5~3秒である。照射後の側頭骨は標本を作製した。 結果レーザーを骨半規管に1回照射(1.5×2sec)すると内部の温度は約50℃に上昇する。連続して同一部位に照射すると、内部温度は加算されて上昇し、最高90℃迄上昇する。骨表面に黒点をつけて照射すると、1回の照射で骨が焼け、蒸散する。 レーザー照射時、前庭内の温度に変化はない。安全な方法である。内部の温度は表面骨の厚さに影響されることがわかる。実際の手術ではできるだけ骨表面を薄く削ることが大切である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト側頭骨を用いた実験は乾燥側頭骨、ホルマリン固定後の側頭骨の2種類で行った。次に予定しているモルモットなどの動物を用いた実験が行えていない。現在耳鼻咽喉科領域手術で使用可能なレーザーは波長10600nmのCO2レーザーである。側頭骨はグリーンレーザー(波長532nm)で行っていたが、これは耳鼻咽喉科の適応がないので、今後はCO2レーザーを入手し、動物に照射した際の内耳の温度測定を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) モルモットの半規管にレーザー照射を行い、その際の半規管内の温度変化を測定する。その後膜迷路の変化を組織学的に検討する。モルモットをpentobarbital sodium(30mm/kg)で麻酔する。中耳骨胞を開け、外耳半規管、後半規管を明視下におく。超極細シース熱電対(直径0.08mm)を挿入する。CO2レーザーで半規管に照射をおこなう。照射後、固定、脱灰して顕微鏡下に膜迷路を取り出し、膜迷路の収縮の程度を観察する。照射による膜迷路の変化を組織学的にも検討する。ヒトと比べ、モルモット半規管はかなり小さいため、微細な手術機器を要する。
平成24、25年度の実験に用いたグリーンレーザーは購入予定であったが、購入せずに使用することで実験ができたため次年度使用額が生じた。 レーザー機器の購入、動物実験を行う際の微細な手術機器の購入、論文投稿の費用とする。
|
Causes of Carryover |
本研究はレーザーを内耳へ照射した際の温度変化を検討する。われわれはかつてアルゴンレーザーで照射実験を行ったが、現在使用できる医療用のアルゴンレーザーはなく、波長の近いグリーンレーザーで予備実験を行った。しかしグリーンレーザーは耳鼻咽喉科領域の保険適応がない事が判明し、保健適応のあるCO2レーザーを使用し照射実験を行うこととしたため、研究に遅れを生じ、未使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒトへの実際の臨床応用を考え、現在耳鼻咽喉科領域で使用できるCO2レーザーを用いた実験を行う。グリーンレーザーは波長532nm であるが、CO2レーザーは波長10600nmで、水への吸収度は大きい。この波長の違いが臨床応用する際に影響するか検討する。内耳への温度変化をヒト側頭骨で検討する。未使用額はその経費に充てることとしたい。
|
Research Products
(1 results)