2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小島 博己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60234762)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粘膜再生 / 鼓室形成術 / 癒着性中耳炎 / 真珠腫性中耳炎 |
Research Abstract |
中耳炎に対する鼓室形成術の大きな目的の一つは聴力の改善である。術後に正常な中耳腔を形成するためには中耳粘膜の再生および生理的なガス換気能の回復と鼓膜の癒着防止がなされることが最も重要である。しかし中耳炎を伴った症例では中耳粘膜機能は元来障害されているため術後の中耳粘膜上皮の再生は遅延し、有効な含気腔を作ることが困難なことが多く、とくに癒着性中耳炎は他の中耳疾患と比較して手術成績が非常に悪い。また真珠腫性中耳炎においては、は再形成性真珠腫を生じやすいという問題が生じる。 このような経緯から、術後に障害された中耳粘膜を早期に再生させることが可能になれば、癒着性中耳炎では鼓膜の再癒着を防止することができ、真珠腫性中耳炎では外耳道後壁を保存した上で、真珠腫の再発を予防することが可能になり、手術成績が向上すると思われる。 我々は現在まで、実験動物において削開した中耳腔に対して人工的に作製した自家鼻粘膜を移植することにより、良好な粘膜の再生を生じることに成功した。さらにヒトの下甲介粘膜から鼻粘膜上皮細胞シートを作成することにも成功しており、鼻粘膜上皮細胞シートは組織学的にヒト耳粘膜上皮とほぼかわらないことを確認した。 今回の研究ではヒトの鼻粘膜上皮細胞シートを用いた中耳への移植のclinical trialを行い、臨床効果を判定することを最終目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慈恵医大の倫理委員会にて、「鼻粘膜上皮細胞シートを応用した鼓室形成術」の承認を平成25年に新たに取得した。現在厚生労働省の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に基づき提出書類の提出も行った。 25年度中の認可を目標とし、臨床研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在厚生労働省の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の認可を第一目標とし、許可が得られ次第、臨床研究を実施する。 臨床研究から問題点をフィードバックし、問題解決のための基礎研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GMP施設内での粘膜シートの作成が確実に行えるようにトレーニングを重ねる。 ヒト鼻粘膜シートの安全性に対する研究をさらにすすめる。 組織学的に単層上皮と上皮下の組織を確認し、免疫染色やRT-PCRにて粘膜上皮に発現する様々な蛋白について確認する。電顕的にも正常中耳粘膜との相違の有無につきひきつづき観察を行う。 GeneChipを用いた遺伝子等の発現を解析を行う。
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Research Products
(2 results)