2013 Fiscal Year Research-status Report
聴神経再生治療を志向した骨髄由来間葉系幹細胞から聴神経分化誘導の高効率化
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24592567
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50340237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 晶子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20340242)
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Keywords | 骨髄由来間葉系幹細胞 / グルタミン酸作動性ニューロン / 感音性難聴 / 聴神経 / 再生治療 |
Research Abstract |
Ptf1a及びPax2は、GABA作動性ニューロンへの分化を運命付ける転写因子である。骨髄由来間葉系幹細胞(以下BMSCとする)から効率よくかつ特異的に聴神経、すなわちグルタミン酸作動性ニューロンを得るには、この分化過程での両因子の発現を抑制し、GABA作動性ニューロンへの分化を抑える必要がある。 平成24年度では、Ptf1aとPaxの発現が、ヒストン脱アセチル化酵素(以下HDACとする)により抑制される可能性を示した。平成25年度では、この発現抑制のメカニズムを明らかにするために、HDACがPtf1a及びPax2遺伝子のプロモーターに結合しているかどうかをクロマチン免疫沈降法(以下ChIP法とする)により調べた。BMSCを用いたChIP法の条件検討に予定より時間がかかってしまい、各遺伝子のプロモーター上へのHDACへの結合を検討するまでには至らなかった。しかし、条件検討は完了し、現在ChIP法を進行中である。 これまでに、HDAC阻害剤は、BMSCからグルタミン酸作動性ニューロンを得る際に、有効な薬剤となりえることを明らかにした。本年度は、この結果について様々な側面から検討を加えた。その結果、HDAC阻害剤を添加した条件下で得られたBMSC由来ニューロンは、聴神経の形態学的な特徴を非常によく反映していることを明らかにした。本結果は、専門誌への投稿準備中である。 グルタミン酸作動性ニューロンへの分化運命決定に関わる転写因子Tlx3を過剰発現したBMSC株の樹立を完成させた。この細胞株を用い、Tlx3はBMSCをグルタミン酸作動性ニューロンへと効率的に分化させることを明らかにした。さらに、このTlx3による特異的な分化には、ホメオドメインが必要であることを示した。本結果は、専門誌への投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画での4項目中3項目については、順調に進んでいる。この結果、平成26年度中は論文を海外専門誌に2報投稿を予定している。この点は予想しえなかった成果であり、大きく研究を展開できたと評価できる。一方、残り1項目、すなわちヒストン脱アセチル化酵素によるPtf1a及びPax2遺伝子の発現抑制のメカニズムを明らかにできなかった。これは、計画していた実験の条件検討に、予定より時間がかかったためである。以上から、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度から研究代表者である下村は、北海道医療大学へと移動となる。そのため、移転や研究室の立ち上げ等に時間を取られ、本研究遂行の遅れが懸念される。そのため、赴任前から移転先付属の研究施設である個体差健康科学研究所などの協力を得て、移転後速やかに研究が始められるよう準備を進めている。 また移転先の学科は、聴覚に関する専門のセクションがある。ここに所属する研究者から難聴治療に対する最新の研究動向を知ることができ、これを本研究に大いに活用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に計画していた実験(ChIP法)が予定より遅れた。そのため、この実験で購入予定であった試薬や消耗品分が、次年度使用額として生じてしまった。 遅れている実験計画(ChIP法)で用いる試薬や消耗品に対して、使用する予定である。
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[Journal Article] Targeted deletion of the C-terminus of the mouse adenomatous polyposis coli tumor suppressor results in neurologic phenotypes related to schizophrenia.2014
Author(s)
Takanori Onouchi, Katsunori Kobayashi, Kazuyoshi Sakai, Atsushi Shimomura, Ron Smits, Chiho Sumi-Ichinose, Masafumi Kurosumi, Keizo Takao, Ryuji Nomura, Akiko Iizuka-Kogo, Hidenori Suzuki, Kazunao Kondo, Tetsu Akiyama, Tsuyoshi Miyakawa, Riccardo Fodde and Takao Senda
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Journal Title
Molecular Brain
Volume: 7
Pages: 21
DOI
Peer Reviewed
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