2012 Fiscal Year Research-status Report
顔面神経麻痺患者のウイルス特異的免疫能-ワクチン接種による発症予防の基礎的研究-
Project/Area Number |
24592569
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
萩森 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90291799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 京子(高巻京子) 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40368105)
櫟原 崇宏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20624240)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 顔面神経麻痺 / 帯状疱疹ウイルス / 単純ヘルペス / ウイルス特異的細胞性免疫能 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、顔面神経麻痺患者へのヘルペス属ウイルス(単純ヘルペスウイルス(以下HSV)および水痘・帯状疱疹ウイルス(以下VZV)の関与を検証すると同時に、宿主のウイルス特異的免疫能、特にVZVについては液性免疫、細胞性免疫両面から検討・評価することで、顔面神経におけるウイルス再活性化、顔面神経麻痺の発症メカニズムを解明することである。平成24年度の研究では、当大学病院を受診した顔面神経麻痺患者の42%がHSV関与ならびに25%がVZV関与であることが判明した。またVZV特異的細胞性免疫能をELISPOT法で評価した結果、VZV関連顔面神経麻痺患者において、その発症直後には細胞性免疫能が低下しており、その後上昇することが明らかになった。一方、HSV関連顔面神経麻痺患者にはこのような傾向は認められなかった。これらよりVZV特異的細胞性免疫能の低下がHunt症候群やzoster sine herpeteの発症に深く関与している可能性が示唆されたと考えられる。これらの成果を第4回近畿ヘルペス研究会、第35回日本顔面神経研究会にて発表するとともに、Facial N Res Jpn誌に投稿した(顔面神経麻痺患者における水痘帯状疱疹ウイルス特異的細胞性免疫能について(第1報). Facial N Res Jpn 32: 99-101, 2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる目的は、顔面神経麻痺患者へのHSVおよびVZVの関与を検証すると同時に、宿主のウイルス特異的免疫能、特にVZVについては液性免疫、細胞性免疫両面から検討・評価することで、顔面神経におけるウイルス再活性化、顔面神経麻痺の発症メカニズムを解明することであるが、平成24年度の研究で、VZV特異的細胞性免疫能の低下がHunt症候群やzoster sine herpeteなどのVZV関連顔面神経麻痺の発症に関与している可能性が示唆された。今後はこれを検証するとともに、同一患者内での細胞性免疫能の変化を経時的に観察することで、細胞性免疫能が如何に顔面神経麻痺発症に関与するかが解明できるのではないかと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
顔面神経麻痺患者のHSVおよびVZV特異的液性免疫、ならびにVZV特異的細胞性免疫能について引き続き検討するとともに、同一患者内での免疫能の変化を経時的に観察することで、液性および細胞性免疫能が如何に顔面神経麻痺発症に関与するのかを解明する。また、得られた結果などについては、日本顔面神経研究会、国際顔面神経シンポジウム(Boston) 、米国耳鼻咽喉科学会(Vancouver)、日本耳科学会などで報告し、Facial N Res Jpn誌へ投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は液性免疫能測定を外注および旧機器を用いたため、未使用額が生じた。引き続き研究に必要な器材の購入に当てるとともに、複数回の国外・国内学会発表が予定されているので、これらにかかる旅費、準備費に用いる予定である。
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Research Products
(9 results)