2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592580
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三輪 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80247650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 和作 順天堂大学, 医学部, 講師 (10374159)
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バリア機能 / 鼻粘膜上皮 / スギ花粉症 / アレルギーマーチ / 早期介入 / フィラグリン / 上皮水分蒸散量 / 上皮間電位差 |
Research Abstract |
研究目的1)に記載している「ヒト鼻粘膜でのフィラグリンの発現が、アレルギー性鼻炎と非アレルギー性鼻炎、花粉症飛散前後、難治性副鼻腔炎でどうかわるか」に関して、まず、スギ花粉症患者下鼻甲介粘膜上皮における発現について初期療法(季節前投与)前後で検討した。具体的には下鼻甲介粘膜を綿棒にて擦過することにより得られた細胞について、SV Total RNA Isolation System (Promega) によりRNAを抽出し、Super Script First-strand Synthesis System for RT-PCR (invitrogen)により逆転写反応を行った後、リアルタイムPCRをおこなった。その結果、第2世代抗ヒスタミン薬を用いた初期療法をおこなった群では、鼻粘膜組織内のフィラグリン遺伝子の発現量が有意に増加し、また症状スコアの改善度と正の相関を有していることが認められた。アレルギー疾患の特徴として、自然緩解をしないこと、アレルギーマーチといわれる人生のステージで出現する組織が異なってくる現象が知られている。言い換えれば、人生の場面ごとに、組織を変えてあるいは新たにアレルゲン性を獲得して病態の悪化を惹起する現象がおこっていると考えられる。その意味で、アレルギー発症の予防あるいは難治化に対して早期介入をおこなうことの有用性が最近唱えられてきている。スギ花粉症初期療法(季節前投与)は早期介入の一つのモデルになっている。本結果は早期介入をおこなうことにより、バリア機能関連タンパクのなかでも証明されているフィラグリンの発現が増強されることを示唆しており、鼻炎だけではなく、気管支喘息およびアトピー性皮膚炎などすべてのアレルギー疾患の制御の一つの方向性を示す重要な知見であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バリア機能関連タンパクと病態との関連性に関して、治療効果も含め、新知見が得られ始めている。今年度得られた知見に関して以下の国内特許を申請している(出願番号:特願2012-225608発明名称:アレルギー性鼻炎の判定方法 出願日:2012/10/11)。
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Strategy for Future Research Activity |
1)難治性副鼻腔炎である好酸球性副鼻腔炎を含めた副鼻腔炎の発症および難治化に対して、フィラグリンがどのように関連しているかについて、粘膜擦過細胞および摘出組織標本を用いて検討する。 2)初代培養ヒト鼻粘膜上皮細胞でフィラグリンの発現をノックダウンした場合、バリア機能が変化するか。リポポリサッカライドあるいはアレルゲン刺激によるバリア機能の変化に対して、フィラグリンの発現をノックダウンした場合どう変わるか。 3)連携研究者はフィラグリンノックアウトマウスを現在飼育しており、花粉抗原に感作させた前後でワイルドタイプのものとの症状、好酸球浸潤、サイトカインの発現の相違について検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子関連試薬、一般試薬、器具類、国内外での成果発表のための旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(8 results)