2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592593
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
海沼 和幸 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (30334907)
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Keywords | 唾液腺悪性腫瘍 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
唾液腺悪性腫瘍の病理組織型は極めて多彩であり、予後は組織型によって大きな差を認めるため、正確な組織型の診断は非常に重要である。根治療法は手術であるが、顔面神経の処理や頸部郭清の併用など組織型ごとに術式を検討することが必要とされているが、一般的に切開生検は限定した症例への施行が多く、臨床所見、画像所見、FNAの結果を総合判断する現状の術前診断では正確な組織型の診断に限界がある。 本年度は、昨年度までの研究を継続して実施し、当科で根治的手術を行った大唾液腺癌20例(腺様嚢胞癌4例、粘表皮癌4例、唾液腺導管癌5例、腺房細胞癌4例、腺癌3例)を対象に、total RNAを抽出しマイクロアレイ(SurePrint G3 Human GE マイクロアレイ 8×60k v2, Agilent Technologies社製)で遺伝子発現解析を行った。その後クラスタリングを行い、組織型ごとに特異的発現している遺伝子を同定した。同定した遺伝子についてRT-PCRを行い、マイクロアレイの結果との一致を検証した。また、実際に摘出した腫瘍にFNAを施行し、得られた微量検体のRT-PCR解析を行い,組織型の診断が可能かどうか検討を行った。 クラスター解析により組織型ごとに特異的発現している遺伝子から6個(SCGB1D1, SMR3B, MLC1, C1QL2, SOX10, HOXA3)を選び、その遺伝子のRT-PCRによる定量解析を行った。その結果、マイクロアレイの結果に矛盾しない結果が得られた。また、FNA検体においても再現性のある結果が得られた。しかしながら、得られるRNAサンプルが微量であるため、結果が得られない場合もあり、系の改良の必要がある事も明らかとなった。今後、全転写産物増幅法などを組み合わせる事で術前補助診断へ応用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画通り、唾液腺悪性腫瘍からのtotal RNAの抽出、RT-PCRによる検討が行われた。また、FNAサンプルの検討なども順調に実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイから得たデータを詳細に解析するとともに、FNA検体を用いて診断可能なシステムを開発することを目的に全転写産物増幅法を組み合わせて解析を行う予定である。また、補助診断に応用可能な遺伝子を同定してRT-PCRで追加実験で検証していくとともに、近年、唾液腺腫瘍においても関与が示唆されているHER2やEGFRなどを免疫染色の手法でタンパクレベルでの検証も予定している。
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