2013 Fiscal Year Research-status Report
ガレクチン-3の発現とプロモーター領域メチル化の解析による甲状腺発癌機構の解明
Project/Area Number |
24592596
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
喜井 正士 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (10521726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 晋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20625107)
山本 佳史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60346210)
|
Keywords | 甲状腺癌 / ガレクチン-3 |
Research Abstract |
「ガレクチン-3の発現とプロモーター領域メチル化の解析による甲状腺発癌機構の解明」を目的として平成25年度には、①「甲状腺腫瘍の穿刺吸引細胞診検体・手術摘出標本におけるガレクチン-3の発現、ガレクチン-3遺伝子と癌抑制遺伝子RASSF1Aのプロモーター領域のメチル化状態の解析」および②「濾胞腺腫細胞株を脱メチル化剤で処理した際のガレクチン-3の発現量の変化、および脱メチル化処理された細胞の悪性形質の変化の解析」を予定した。検体確保に関しては大阪大学医学部附属病院において行い、穿刺吸引検体(A)・手術摘出標本(B)として甲状腺濾胞腺腫(良性腫瘍)を1例と甲状腺乳頭癌(悪性腫瘍)3例を確保した。①に関しては濾胞腺腫ではA・Bいずれの検体にもガレクチン-3の発現を認めなかったのに対し、乳頭癌ではA・Bいずれの検体にもガレクチン-3の発現を認めた。なお、AはELISA法で検出を行い、Bは免疫組織化学法とイムノブロット法で検出を行った。以上の結果は予想通りのものであった。次に、A・BよりDNA抽出を行い、ガレクチン-3のDNAを、特異的プライマーを用いたPCR法で増幅した後、制限酵素処理後の電気泳動にて確認した。さらにメチル化特異的PCRを用いてガレクチン-3のメチル化状態を調べたところ、濾胞腺腫ではガレクチン-3のメチル化が、乳頭癌の3例全例でガレクチン-3の非メチル化が検出された。一方、RASSF1Aのプロモーター領域のメチル化に関しては、鋭意遂行中であるがまだ予備実験の段階である。②に関しては甲状腺濾胞腺腫細胞株KAK-1にたいして脱メチル化剤で処理したものとしていないものでガレクチン-3の発現量を調べたところ、複数回の実験において脱メチル化処理後にガレクチン-3の発現が上昇していることを確認した。現在までの研究実績は以上の通りである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象とする疾患の検体数が少ないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は当初予定した計画よりも遅れはとっているが、今回の研究課題において一番鍵となる研究結果-甲状腺良性腫瘍においてガレクチン-3遺伝子のプロモーター領域のメチル化が、悪性腫瘍において非メチル化が検出された-が得られた。まだ対象が少ないため発表できる段階にはないが、今後対象数を増加させれば発表に値する研究成果が得られるものと予想される。引き続き「甲状腺腫瘍の穿刺吸引細胞診検体・手術摘出標本におけるガレクチン-3の発現、ガレクチン-3遺伝子と癌抑制遺伝子RASSF1Aのプロモーター領域のメチル化状態の解析」の研究を継続していくが、RASSF1Aよりもガレクチン-3についてウェイトをおいて進めていく予定である。さらに、「濾胞腺腫細胞株を脱メチル化剤で処理した際のガレクチン-3の発現量の変化、および脱メチル化処理された細胞の悪性形質の変化の解析」についても引き続き研究を行っていく。濾胞腺腫細胞株KAK-1を脱メチル化剤で処理した際にガレクチン-3の発現量が増加するというデータを得ており、脱メチル化処理された濾胞腺腫細胞と元の細胞における悪性形質を血清非依存性増殖能・足場非依存性増殖能・接触阻止現象の喪失により評価・解析していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品に関しては、これまで大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室で使用中のものを使用したため、当初消耗品に対する物品費として計上していた研究費は使用していない。 「甲状腺腫瘍の穿刺吸引細胞診検体・手術摘出標本におけるガレクチン-3の発現、ガレクチン-3遺伝子と癌抑制遺伝子RASSF1Aのプロモーター領域のメチル化状態の解析」および「濾胞腺腫細胞株を脱メチル化剤で処理した際のガレクチン-3の発現量の変化、および脱メチル化処理された細胞の悪性形質の変化の解析」を行うにあたって、合計219万円を見込んでいる。そのうち消耗品に189万円、学会参加等の旅費に30万円を見込んでいる。
|