2014 Fiscal Year Annual Research Report
ガレクチン-3の発現とプロモーター領域メチル化の解析による甲状腺発癌機構の解明
Project/Area Number |
24592596
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
喜井 正士 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (10521726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 晋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20625107)
山本 佳史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60346210)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ガレクチン-3 / 甲状腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガレクチン-3(Gal-3)の発現とプロモーター領域メチル化の解析による甲状腺発癌機構の解明を目指して、最終年度に①甲状腺腫瘍手術検体と②脱メチル化処理した濾胞腺腫細胞株で研究を行った。①では穿刺吸引検体(A)・手術摘出標本(B)として乳頭癌6例を確保した。A・BともGal-3発現を認めた。次にA・BからDNAを抽出し、Gal-3DNAを特異的プライマーによるPCRで増幅後にメチル化特異的PCRで調べたところ、全例でプロモーター領域の非メチル化を認めた。またRASSF1Aプロモーター領域のメチル化を6例中2例で認めた。②では濾胞腺腫細胞株KAK-1の脱メチル化剤処理あり(D)となし(C)でGal-3発現量を調べたところ、DではCよりも発現が1.8倍上昇していた。DとCにおける血清非依存性増殖能(Ⅰ)・足場非依存性増殖能(Ⅱ)・接触阻止現象の喪失(Ⅲ)について実験を行った結果、DはCに比べⅠで1.4倍、Ⅱで1.6倍の増殖能とⅢで接触阻止現象の喪失を示した。 これまでの成果から、乳頭癌9例全例でGal-3遺伝子の非メチル化が、濾胞腺腫1例でメチル化が検出されたことから、プロモーター領域のメチル化状態の検索が甲状腺良悪性腫瘍の鑑別に役立つ可能性が示唆された。また良性腫瘍株の脱メチル化処理で、僅かながらGal-3発現亢進と悪性形質化をもたらす結果が得られたことから、遺伝子プロモーター領域の脱メチル化が甲状腺発癌に関与すると推察され、今回の研究が甲状腺発癌メカニズムの一端を明らかにする可能性を示し有意義であったと考える。しかし濾胞腺腫が1例しかなく、また濾胞癌症例がなかったため、断定的なことはまだ言えず未発表としている。なおRASSF1Aプロモーター領域のメチル化状態に関しては濾胞腺腫と濾胞癌で測定できておらず、さらなるデータの蓄積が必要である。研究を継続し論文発表する予定である。
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