2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト乳頭腫ウイルス関連頭頸部癌に対する低侵襲な治療法の開発にむけて
Project/Area Number |
24592597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
星川 広史 香川大学, 医学部, 准教授 (70294767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸野 毅日人 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20532683)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HPV / 放射線感受性 |
Research Abstract |
組織学的に検討可能であった中咽頭がん10症例に関して、HPV感染との関連が強いとされるp16免疫染色を施行したところ、5例に陽性の所見を認め(50%)、同時期に手術的に治療し、放射線感受性試験(後述)が施行できた喉頭、下咽頭、口腔がん8例中1例(12.5%)に比べ高率にp16の陽性所見を認めた。PCRによるHPV16, 18, 33-DNAの検出については、中咽頭がんでは10例中3例のみ施行可能で、p16陽性の2例中1例でHPV16陽性、p16陰性の1例ではHPV-DNAは陰性であった。喉頭、下咽頭、口腔がん手術症例のうちHPV-DNAの検討ができた7例では全例HPV-DNA陰性であった。生検材料もしくは手術材料を用いて癌細胞を一次培養し、放射線ならびに抗がん剤の感受性を検討したが、当初CD-DST法のキットを購入して自前で培養を試みるも、細菌の混入や、培養不良により十分な検討ができなかった。そのため、秋以降は委託によりCD-DST法による放射線、抗がん剤感受性試験を行った。結果、依頼した9例中8例で検討が可能(1例は培養不良)だったが、中咽頭がん症例の成功例は1例のみにとどまった。そのため、今回は中咽頭がん以外の対照群と位置づけ、放射線照射に対する培養細胞の増殖程度を検討したが、照射線量が増えると細胞増殖が強く抑制される傾向を認めた。しかし、今回の症例は手術のみの治療群で、臨床的な放射線感受性とCD-DST法による感受性との相関を検討するには至らなかった。問題点として、検査に必要な十分量の培養細胞を得るためには生検で採取できる数ミリ大の組織量では不十分で、放射線治療群における臨床効果と培養細胞のデータを比較することが困難であることが明らかとなった。今後は少量の細胞で実施できるように検討項目を減らすなどの工夫が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自前での細胞培養が困難で、委託する必要性があること、委託する場合でも相当な組織量が必要なことから、手術的な治療を行った症例でしか放射線感受性、抗がん剤感受性の検討ができなかった。そのため、培養系の結果と実際の臨床の治療効果を比較検討することができなかった。放射線治療群(手術ではないため採取できる組織量に限度がある)でいかに少量の組織を効率よく増やして、培養系での感受性と実際の臨床での治療効果を比較する必要がある。免疫染色の検討は、まずは本年度の新規症例を中心に陽性出現率を検討し、安定した染色ができることを確認したうえで、過去の症例の検討を追加することとした。臨床効果の判定についてはPET検査の所見との比較を検討していたが、病院の再開発工事のため、本年度1年間は当院でのPET検査が施行できなかった。次年度からはこれまで通り検査を行い、治療効果の評価として検討項目に入れる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べた通り、放射線治療実施症例では、可能な範囲で十分量の組織を採取し、CD-DST法による放射線感受性、抗がん剤感受性試験を行う。合わせて臨床効果を画像検査(PETを含む)も併用して行う。残念ながら自施設での培養が困難で、昨年度同様に委託で検討する必要がある。その場合は1症例10万円程度の費用を要するため、10症例を目標に検討を行い、昨年実施した手術症例の結果を対照群として、効果の差異を検討する。免疫染色によるp16発現の検討は、昨年度の実績より安定した染色の評価ができており、過去の症例に関しても評価を行う予定である。p16の染色性と治療効果、予後との関連についてもretrospectiveに検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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