2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト乳頭腫ウイルス関連頭頸部癌に対する低侵襲な治療法の開発にむけて
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24592597
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
星川 広史 香川大学, 医学部, 准教授 (70294767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸野 毅日人 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20532683)
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Keywords | HPV / 放射線感受性 |
Research Abstract |
昨年同様平成25年度に当科を新規受診し、加療を行った中咽頭がん症例について、HPV感染との関連が高いp16免疫染色を施行したところ6例中2例(33%)に陽性所見を認めた。同時期に手術加療を行い、放射線感受性試験を施行できた喉頭、下咽頭、口腔がん9例中1例(11%)にp16陽性所見を認めた。本年は中咽頭がん症例が昨年と比べ少なかったこともあるが、昨年のp16陽性所見50%に比べ低い割合であった。その他の部位の癌に関しては昨年とほぼ同等(12.5% 対 11%)であった。CD-DST法を応用した放射線、抗がん剤感受性試験を9例に行ったが、検討出来た症例中p16陽性症例は1例のみであった。その症例では、放射線に対する感受性としては9例中2番目に高い結果ではあったが、放射線感受性とp16発現の間に相関があるかどうか、十分な検討はできなかった。臨床的な検討としては過去の中咽頭がん症例に関して原病死した13例中側壁癌は3例で、その割合は23%であった。無病生存の44例中側壁癌は31例と約70%を占めた。病理学的なp16の発現に関しては2010年以前の症例に関してはルチーンな免疫染色がなされていないため全症例での結果はまだ把握できていないが、p16陽性例のほとんどは側壁癌とされており、今回の結果からも無病生存例には側壁癌が明らかに多く、HPV関連発癌症例において予後が良いとの過去の報告を裏付ける結果であると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
放射線治療主体の症例では組織の採取量が手術症例に比べ少ないため、CD-DST法による検討が行えた症例がなかった(少ない組織量で検討を試みたが、一次培養では十分検討できるほどの細胞量にはならなかった)。さらに委託で行っていたCD-DST法による検討が、放射線照射機器のメインテナンスの問題で、今後施行できないとのことであり、他の方法を検討する必要がある。免疫組織学的な検討に関しては、p16の染色に関しては新規症例で安定的に実施できることが確認されたため、過去の症例での検討を病理学講座に依頼中である。PET検査も工事が終了し、新規症例でも施行が可能となったため、過去の症例と合わせて検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
先述したとおり、一番の問題はCD-DST法による検討が中止となったため、他の委託業者を選定中である。実施できる機関が見つからない場合は、p16陽性例の癌細胞において培養細胞系を樹立し、継代培養細胞を用いて放射線、抗がん剤の感受性について検討を行う予定である。臨床データの解析は現在進行中であり、3年間の最終報告として解析データをまとめる予定である。
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