2013 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌が内包する脆弱性の探索と分子標的治療への応用
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24592600
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
益田 宗幸 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (90284504)
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Keywords | 頭頸部癌 / 癌進化 / 癌幹細胞 / epigenetics / chromatin remodeling |
Research Abstract |
2011年のscience誌の論文でも確認された様に頭頸部癌にはmajorなoncogeneのgain-of-function mutationがなく周囲の環境からのselective pressureや微小環境からのシグナルを受けて分子回路をリプログラミング(malignant reprogramming)しながら進化するepigeneticな癌と考えられる。 近年固形癌の治療抵抗性や転移の中心的なメカニズムは癌幹細胞(CSC)にあると考えられるようになっている。早期の頭頸部癌の多くは放射線化学療法で治癒し、遠隔転移を起こすこともまれであることから、頭頸部癌では進化の最終形態としてCSC様の細胞が出現すると思われる。頭頸部CSCの誘導・維持に必要なリプログラミング機構を解明し、reverseあるいはblockできれば頭頸部癌治療に大きな進展をももたらすことが出来ると考えられる。頭頸部癌はepigeneticな機構で進化する癌であり、その重要なメカニズムの一つがchromatin remodelingによる遺伝子発現profileの変化にあり、CSCの発現パターンはembryonic stem cellや 創傷治癒時の発現パターンになると推測される。以上の点を踏まえて以下の3項目の研究を推進中である。 1. 頭頸部癌のprogressionにおけるchromatin remodeling機構の解明 2. 頭頸部癌幹細胞マーカーとしてのCD44 variantの役割 3. 頭頸部癌に特異的な遺伝子発現profilingの検索
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 米国で進行中のThe Cancer Genome Atlas (TCGA)に登録された頭頸部癌組織のDNA、RNA、コピーナンバー数等のパブリックデーターの解析をおこないlong intergenic non-coding RNA(lincRNA)のなかでHOTAIRの発現が頭頸部癌の予後を不良とする因子であることをみいだした。現在当科、慈恵大学耳鼻咽喉科、浜松大学耳鼻咽喉科の腫瘍バンクを利用して日本人のsampleを利用してHOTAIRの発現解析を行うため研究計画を倫理委員会に提出中である。 2. 九州がんセンターでchemoradioselction戦略に基づいて治療を行った標本を使用して固形癌の癌細胞のマーカーとして有用視されているCC44v9の発現と臨床病理学的因・予後との相関解析をおこなった。この結果CD44v9の発現が患者の予後を不良とする因子である事を頭頸部癌では世界ではじめて明らかにした。この結果を現在Annals of Oncologyに投稿中である。 3. 上述したTCGAのデーター解析からNotch1遺伝子のコピーナンバー数の減少とRNAの発現レベルに相関があり、さらにNoctch1の発現レベルと扁平上皮の分化にかかわる遺伝子セット(モジュール)との間に負の相関があることがあきらかになった。現在蛋白レベルの発現を解析中
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Strategy for Future Research Activity |
1. 頭頸部癌のprogressionにおけるchromatin remodeling機構の解明:頭頸部癌の進化の最終過程で起こる多分化能と脱分化を制御する因子の解析をまずvitroの系で明らかにする。このための実験系として頭頸部癌培養細胞に多分化能を誘導するcore factorであるSOX2を過剰発現した細胞株を樹立し、PRC、lncRNA、miRNAとのinteractionを解析する。この解析の結果頭頸部癌の多分化能・脱分化にかかわる新規のmoleculeをみいだし、臨床標本でその発現と予後との相関を解析する。 2. 頭頸部癌幹細胞マーカーとしてのCD44 variantの役割:CD44v9が頭頸部癌の予後を不良とする幹細胞マーカーであることが明らかになったので、CD44v9の機能抑制剤であるスルファサラジンの臨床応用にむけたPhase studyを開始したい。 3. 頭頸部癌に特異的な遺伝子発現profilingの検索:Notch1の免疫染色にすでに着手している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床標本でのmicroarrayにかなりの額の支出を見込んでいたが、倫理委員会での承認がまだ下りておらず予算が未執行となっているため。 臨床標本及び培養細胞でのmicroarray、qPCR。免疫染色抗体・キットの購入。細胞培養・トランスフェクシオン試薬の購入。論文掲載料。国際学会を含む学会出張旅費。
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Research Products
(7 results)