2013 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部扁平上皮癌における細胞接着阻害分子ポドカリキシンの発現、および機能の解析
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24592601
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村上 大造 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70398212)
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Keywords | ポドカリキシン / 頭頸部癌 |
Research Abstract |
ポドカリキシンはシアロムチンファミリーに分類される細胞膜蛋白で、おもに腎臓の糸球体上皮細胞において発現が認められる。足突起など糸球体上皮細胞の独特な形態形成に寄与し、これにより上皮細胞間に間隙(濾過間隙)を形成し、糸球体濾過という腎臓特有の機能の維持に貢献している。この蛋白の細胞外ドメインはシアル酸、硫酸残基に富み、細胞接着阻害分子として機能し、本来緊密な接着構造を維持している上皮細胞において、あえてその接着を解除する機能を担うユニークな分子である1)。 近年、ポドカリキシンは糸球体上皮細胞以外に前立腺癌、乳癌、大腸癌などの癌組織での高発現が報告されている2)~4)。さらに、この発現は疾患の予後不良因子になる可能性が示唆されている。発癌や浸潤・転移の過程におけるポドカリキシンの果たす役割についてはいまだ不明な点が多いが、上記の細胞接着阻害機能が関与していると推察されている。すなわち、細胞間接着能の低下により、原発巣での浸潤性が増すとともに、原発巣からの遊走能が亢進することにより、リンパ・血行性転移を促進すると考えられる。 本研究では、国内外においていまだ解析がなされていない頭頸部扁平上皮癌において、ポドカリキシンの発現について臨床検体を用いて検索し、局所浸潤傾向、所属リンパ節、遠隔転移ならびに生存率との関連について解析し、頭頸部癌における予後不良因子となりうる蛋白であるかについて検討することを目的とする。 そこでまず、外科的切除された頭頸部扁平上皮癌の組織を用いたウエスタンブロット法によるポドカリキシン蛋白の発現を検討したが、現在まだその発現が確認できいないのが現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在ウエスタンブロット法により蛋白の発現解析を行っているが、未だ発現が確認できず、次のステップに進めない状況である。その理由として蛋白量が微量であること、使用抗体の感度の問題、比較的大きな分子(約150KD)であり実験時の転写の効率が悪いことなどが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の理由で蛋白の発現解析がすすんでいないため、ウエスタンブロット法での転写条件の検討、抗体を各種用いての比較、免疫染色での解析、また、蛋白発現にこだわらずmRNAレベルでの発現解析などを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果報告欄に記載したとおり、蛋白発現が確認できないため研究がストップし、次の段階に進めないため使用額が低額となっています。 実験遂行にむけて今後の対処方針のとおり、実験方法を変更して行っていく予定です。 各種抗体購入や免疫染色やRNA実験器具などにも科研費を使用致します。
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