2015 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部扁平上皮癌における細胞接着阻害分子ポドカリキシンの発現、および機能の解析
Project/Area Number |
24592601
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村上 大造 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70398212)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / ポドカリキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞はアドヘレンスジャンクション、タイトジャンクション、デスモゾームなどの細胞間接着機能により、バリアー機能を獲得するとともに、正常な極性や機能を維持している。この細胞間接着機能の低下は上皮構造の極性の乱れを経て、癌化のinitiationと関連するほか、その後の間質への浸潤や遠隔転移の促進にも大きく関わることになる。したがって、E-カドヘリンなど細胞間接着を担う遺伝子は癌抑制遺伝子として多くの解析がなされてきた。 ポドカリキシンはシアロムチンファミリーに分類される細胞膜蛋白で、細胞接着阻害分子として機能し、本来緊密な接着構造を維持している上皮細胞において、あえてその接着を解除する機能を担うユニークな分子である。近年、前立腺癌、乳癌、大腸癌などの癌組織での高発現と疾患の予後不良との関係が報告されている。本研究では、国内外においていまだ解析がなされていない頭頸部扁平上皮癌において、ポドカリキシンの発現について臨床検体を用いて検索し、局所浸潤傾向、所属リンパ節、遠隔転移ならびに生存率との関連について解析することを目的としていた。発現解析法としてウエスタンブロット法を用いたが、発現は確認されなかった。その原因として、ポドカリキシンの分子量は約150KDaと大きく、転写効率が低いこと、もちいる抗体の親和性が低いことなどが考えられた。そのため、組織切片に免疫染色に変更し解析中であるが、この方法によっても現在までに発現の確認はできていない。したがって、頭頸部癌組織においてはポドカリキシンの発現は乏しく、頭頸部癌症例の予後不良因子とはならない可能性が考えられる。試薬類はすべて最終年度に購入準備しているため、最終年度報告書作成まで解析は継続して行い、結果報告を行う予定である。
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