2014 Fiscal Year Annual Research Report
脱神経後声帯筋筋線維のアポトーシスと筋衛星細胞のアポトーシス抑制に関する基礎研究
Project/Area Number |
24592603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
熊井 良彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (00555774)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋衛星細胞 / MyoD / M-cadherin / 神経再支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱神経、神経再支配過程における筋衛星細胞の発現動態を調べるため、脱神経モデル、神経縫合モデルを作製し処置後3日、1週、3週、5週において評価を行った。具体的には筋衛星細胞のマーカーであるM-cadherinおよび筋線維の再生に密接に関連している転写因子であるMyoDの発現について免疫染色、リアルタイムPCRを行い評価した。また、神経筋接合部の回復、筋断面積の回復についても組織学的に評価した。 M-cadherin、MyoDとも処置後1週まででは両モデルにおいて有意に発現増加していたが、処置後3週以降で神経縫合群では発現が正常の状態まで低下していた。脱神経モデルでは評価期間を通してM-cadherin、MyoDとも発現上昇した状態を維持していた。神経縫合群で神経筋接合部が回復した時期とM-cadherin、MyoDの発現が低下した時期は一致しており、また、筋断面積も同時に回復していた。M-cadherinの発現は筋衛星細胞の活性化動態を反映していると考えられ、神経再支配に伴って筋衛星細胞の活性化が収束し、MyoDの発現も通常の状態に戻った可能性が示唆された。 脱神経後、筋衛星細胞がアポトーシスしやすい状態となるという報告に基づき、当初の計画ではアポトーシスを防ぐことで筋衛星細胞数を増加させ筋再生を促進する方法を検討していた。しかし長期間脱神経されたモデルにおいて、筋衛星細胞の活性化、増殖が持続しているにも関わらず筋萎縮の進行が見られた。また、神経再支配モデルでは筋衛星細胞の活性化は神経再支配後に収束しており、筋衛星細胞の活性化の持続が必ずしも筋再生につながるのではないという結果であった。 こうした筋衛星細胞と神経支配との関連は非常に興味深く、結果を論文にまとめ報告した。今後はさらにこの結果を踏まえて筋再生促進の方策を研究したい。
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