2014 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞及び軟骨膜細胞を利用した気管軟骨の再生に関する研究
Project/Area Number |
24592604
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
野本 幸男 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70508811)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生 / 気管 / 気管軟骨 / 軟骨膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が開発した再生誘導型人工気管はすでに臨床応用が行われ概ね良好な結果を得ているが、骨格がポリプロピレン製であることから成長期にある小児への適応はない。小児症例にも適応しうる人工気管の開発を究極的な目的とし、本研究では気管軟骨の再生を意図して、自家の軟骨細胞および軟骨膜細胞を付加した新規培養気管を作製し、実験動物での移植実験を中心に評価を行った。 〔軟骨細胞、軟骨膜細胞の採取〕全身麻酔下に日本白色系ウサギの肋軟骨および軟骨膜を摘出した。気胸の回避を意図して、壁側胸膜側の軟骨および軟骨膜は一部残した。軟骨膜細胞の採取は、軟骨細胞の場合と同様に酵素処理を用いて行った。〔細胞の蛍光標識〕採取した軟骨細胞および軟骨膜細胞に対して、蛍光タンパクであるGFPおよびTOMATOの遺伝子導入を行い、細胞の蛍光標識とした。遺伝子導入後、in vitroにてそれぞれの蛍光が発現していることを確認した。〔培養気管の作成〕軟骨細胞あるいは軟骨膜細胞をコラーゲン溶液に懸濁した細胞含有コラーゲン溶液を、自己組織再生型人工気管に浸透・ゲル化させ、培養気管を作製した。〔気管再建〕全身麻酔下にウサギの頸部皮膚を縦切開し、さらに前頸筋を正中で縦切開し喉頭および気管を露出させた。気管前壁を気管の約3分の1周、長軸方向に12~15mm範囲で切除した。気管欠損部を覆うように半円筒形の培養気管を留置し、慎重に縫合固定した。最後に前頸筋および皮膚を縫合した。〔標本の作製・評価〕再建した気管を摘出し、固定後薄切して組織学的な評価を行った。軟骨細胞および軟骨膜細胞の両者を付加したモデルでは5週間後、気管欠損部に軟骨様組織の形成が確認できた。 自家肋軟骨由来の軟骨細胞および軟骨膜細胞を付加した培養気管を用いて気管欠損部を再建したところ、欠損部に軟骨様組織の再生が確認された。軟骨細胞および軟骨膜細胞は気管軟骨の再生に促進的に働くことが示唆せれた。
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