2014 Fiscal Year Research-status Report
多能性幹細胞移植による頭頸部癌術後機能回復のための再生医療の研究
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24592610
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大上 研二 東海大学, 医学部, 教授 (90223734)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨格筋間質幹細胞 / 神経再生 / 血管再生 / シート・ペレット / 顔面神経麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,自家細胞移植の細胞源として骨格筋が注目されている.過去にマウス骨格筋間質から抽出し,筋・血管内皮・脂肪細胞への分化能力を有する幹細胞群を同定・分離抽出・生成することに成功した.頭頸部癌患者の治療後QOLを向上させるために,骨格筋間質由来幹細胞を応用して,頭頸部手術で失われた神経再生を目的とした研究をおこなった. 今年度は昨年度に引き続き神経障害モデルとして,まず顔面神経を機械的に損傷した実験モデル動物を確立し,以下の実験をおこなった.マウス顔面神経を露出,機械的に神経を損傷し,損傷後の顔面神経機能の観察測定し,最も妥当な顔面神経損傷モデルを作成した. マウス骨格筋から骨格筋間質由来幹細胞を分離・増殖培養し,幹細胞シートペレットを作成した.損傷部位に幹細胞シートペレットを移植し,非移植対照群との比較をした.ドナーより移植した細胞の著床状況,生体内での貢献度を蛍光実体顕微鏡下で観察すると,神経組織が再生,伸長し,切断された神経を連続する所見が得られた.また組織学的に神経軸索の再生やシュワン細胞への分化,perineurium, endoneuriumへの分化も観察された.また再生した神経周囲に移植した幹細胞由来の血管の再構築が認められた. 機能評価としては顔面の麻痺が対照群と比べて移植群で良好な回復結果が得られた.また電気刺激による支配筋の緊張が対照群と比べて有意に改善していることが確認された. 以上の結果について国内の学会で発表し,論文を投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
骨格筋間質由来幹細胞シートペレットの作成と神経損傷モデルは妥当性のあるものが確立できた.またモデル動物への移植実験と移植後の神経再生,血管再生について組織学的に確認できており,機能評価の段階まで到達している. 国内での学会発表もすでにおこなっており,論文は投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
投稿した論文の受理に向けて,必要に応じて追加実験と論文の再構成をおこなう.今後の発展として,神経損傷の程度やその欠損の距離と再生の限界,機能評価の妥当性の検証,筋電図による電気生理学的客観的評価を検証予定である.
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Causes of Carryover |
当該年度における使用計画よりも,旅費,謝金で減額があったため残額が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験と投稿費用並びに掲載料として使用する. また報告書作成費用として使用する.
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