2012 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌のEGFR標的治療におけるHPV感染と癌幹細胞との相関に関する研究
Project/Area Number |
24592614
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
藤井 正人 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚平衡覚研究部, 部長 (70129633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 廣い 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (40425773)
羽生 昇 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (60365369)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / ヒト乳頭腫ウイルス / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
中咽頭癌に対するHPV検出:中咽頭がんが157例、対照として正常扁桃が112例に対してHPV感染の有無を検討した。中咽頭がん組織のPCRによるHPV解析では79例(50.0%)にHPV陽性であった。一方、対照症例では1例(0.9%)のみHPV陽性であった。HPV型別ではHPV16がほとんどを占めた。HPV陽性中咽頭がんは陰性例と比較して、病期進行例が多く、喫煙者、飲酒者が少ない傾向があった。一方、EGFR免疫染色では84%に陽性でありHPVの有無では陽性率に変化なかった。 癌幹細胞マーカーとHPV感染との関連:中咽頭癌20例に対してHPV感染とCD44、ALCD、Nanog、Oct3/4、の発現を検討した。HPV陽性例12例のうち癌幹細胞陽性例は7例で、HPV陰性例では8例中4例に癌幹細胞陽性例が見られた。これらの臨床像についてさらに検討予定である。 舌扁平上皮癌細胞株のSP細胞における癌幹細胞関連遺伝子の発現とその細胞動態への影響の検討:DNA結合色素Hoechst33342を用いた色素排泄法により舌扁平上皮癌細胞株SAS, HSC4, SCC4をflowcytometryにてsortingした結果,SP分画はSASにて0.9%、HSC4にて0.7%、SCC4にて10.2%、各々認められた。SAS, SCC4のSP細胞とnon SP細胞の間で癌幹細胞関連遺伝子の発現をRT-PCRにて比較した結果、いずれにおいても転写因子Oct3/4、Nanogの発現はSP細胞で顕著に高く、免疫細胞化学染色でも同様の結果が示された。in vitro migration assayおよびinvasion assayの結果、遊走能と浸潤能はSP細胞のほうが高かったのに対し、in vitro proliferation assayの結果、細胞増殖能には明らかな差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中咽頭癌に対するHPV検出とEFGRの発現の検討では倫理委員会の承認も得て多くの症例で施行できた。 癌幹細胞マーカーとHPV感染との関連:中咽頭癌20例に対してHPV感染とCD44、ALCD、Nanog、Oct3/4、の発現を検討した。HPV陽性例12例のうち癌幹細胞陽性例は7例で、HPV陰性例では8例中4例に癌幹細胞陽性例が見られた。症例は少ないが、癌幹細胞の発現に関する手法を確立できた。 in vitroの研究では舌扁平上皮癌細胞株のSP細胞における癌幹細胞関連遺伝子の発現とその細胞動態への影響の検討し、遊走能と浸潤能はSP細胞のほうが高かったのに対し、in vitro proliferation assayの結果、細胞増殖能には明らかな差を認めなかったことがわかり、おおむね順調な結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部癌に対するHPV検出とEGFR発現との関連を検討し、さらにセツキシマブを使用したEGFR標的治療の効果との関連を検討する。さらに、臨床病期、リンパ節転移など臨床像との相関を検討する。セツキシマブ併用の導入化学療法を施行しその効果と、HPV、EGFR発現、癌幹細胞のマーカー発現との相関を検討する。 in vitroの実験で、舌扁平上皮癌細胞株のSP細胞における癌幹細胞関連遺伝子の発現とその細胞動態への影響の検討したが、さらにデータを追加する。そして舌癌臨床検体の細胞を用いて、DNA結合色素Hoechst33342を用いた色素排泄法によりflowcytometryにてsortingし、SP分画を明らかにする。それらのSP細胞とnon SP細胞の間で癌幹細胞関連遺伝子の発現をRT-PCRにて比較した結果を検討し、転写因子Oct3/4、Nanogの発現と、免疫細胞化学染色でも検討する。これらの結果と実際の臨床像についてさらに検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HPV検出のための、PCR、ハイブリッドキャプチャー2法に関する薬品を購入するが、平成24年度においては、癌幹細胞マーカーを検出した症例が少なかったため抗体購入費用が予定より少なかった。しかし、翌年度は症例数が増えるためその分も含めて使用計画を検討している。また、それらを行う研究助手の人件費も拠出する。EGFR、癌幹細胞マーカーの各種抗体を購入する費用として、次年度はさらに多くの抗体を費用するため研究費を使用する。また、頭頸部癌細胞からFACSによってSP細胞を分離するための薬品や、FACS稼働のための人件費を拠出する。 様々なデータをまとめ学会発表を行っていくがそのためのデータ整理ソフト、学会参加旅費などで研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)