2013 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌のEGFR標的治療におけるHPV感染と癌幹細胞との相関に関する研究
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24592614
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
藤井 正人 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚平衡覚研究部, 部長 (70129633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 廣い 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (40425773)
羽生 昇 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 平衡覚障害研究室 研究員 (60365369)
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Keywords | 頭頸部癌 / ヒト乳頭腫ウイルス / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
舌扁平上皮癌細胞株のSP細胞における癌幹細胞関連遺伝子の発現とその細胞動態への影響の検討:SAS, SCC4のSP細胞とnon SP細胞の間で癌幹細胞関連遺伝子の発現をRT-PCRにて比較した結果、いずれにおいても転写因子Oct3/4、Nanogの発現はSP細胞で顕著に高く、免疫細胞化学染色でも同様の結果が示された。in vitro migration assayおよびinvasion assayの結果、遊走能と浸潤能はSP細胞のほうが高かったのに対し、in vitro proliferation assayの結果、細胞増殖能には明らかな差を認めなかった。 臨床腫瘍検体における同関連遺伝子の発現とその臨床的意義の検討:舌扁平上皮癌症例50例の臨床検体の腫瘍細胞核におけるOct3/4とNanogの発現を免疫組織化学染色にて評価し,後発頸部リンパ節転移(DNM)との相関を検討した。DNMは13例に認められ、Oct3/4の発現、Nanogの発現、との間に有意な相関が認められた。DNMに対する独立相関因子はOct3/4発現とvascular invasionであった。頭頸部癌幹細胞の指標としてOct3/4とNanogは有用な候補となりうる可能性が示唆された。これらの指標を発現する癌幹細胞様細胞の存在が、細胞遊走能および浸潤能の亢進を介しstage I/II舌扁平上皮癌のDNMと相関して鵜。 頭頸部扁平上皮癌におけるEGFR発現とHPV感染について検討:中咽頭癌89例に対してEGFRの発現を検討した結果、80例90%で陽性であった。さらに、PCRでHPV発現をみた結果、43例50%のHPV陽性であった。HPVの型別ではHPV16が最も多かった。EGFR陰性でHPV陽性症例は5例であり、EGFR発現とHPV感染との相関関係は認められなかった。今後それらの症例に予後について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌幹細胞マーカーとHPV感染との関連:中咽頭癌症例およびそのほかの頭頸部扁平上皮癌に対してCD44、ALCD、Nanog、OCT3/4の発現を検討している。HPVの検出方法に関しては、PCRによって安定した結果が得られている。昨年度から、継続して癌幹細胞マーカーの免疫染色を行っているが、陽性率が低い場合もあるが再染色でも同様の結果であり方法手技としては確立されている。EGFR阻害剤 セツキシマブが臨床で使用可能となり症例も増えているのでさらに詳細な検討が可能である。 In vitroの研究でも頭頸部癌幹細胞の指標としてOct3/4とNanogは有用な候補となりうる可能についてのデータが蓄積され、さらにこれらの指標を発現する癌幹細胞様細胞の存在が、細胞遊走能および浸潤能の亢進を介して、頭頸部扁平上皮癌のEGFR発現などの生物学的特性との相関が検討可能であり、おおむね順調な結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
HPV感染の検討とEGFR発現についてさらに検討する。セツキシマブを含む薬物治療によって導入化学療法を行っているので、その効果や予後とHPV感染とEGFR発現との相関を検討する。さらにそれらの症例について、各種の癌幹細胞マーカー発現とリンパ節転移、遠隔転移などの臨床像との相関も検討して、それらがHPV感染の有無での治療効果の違いにどのように影響しているかを検討する。 in vitroの研究では舌扁平上皮癌においてSP細胞を同定しそれらの細胞動態への影響や遊走能や浸潤能を検討しているがさらに症例を増やして検討する。さらにSP細胞を安定して同定するようになったので、それら細胞におけるEGFR発現を検討し発現している細胞の生物学的特徴を検討する予定である。 以上のデータを総合して、今年度には専門学会にデータを発表して専門誌に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
EGFR阻害薬による治療症例は昨年度から急増しているので、次年度において多くの症例に対してHPV検出し施行しなくてはならず、PCR試薬 ハイブリッドキャプチャー2施行に対する費用を確保する必要があるため。さらに、多くの症例で癌幹細胞マーカー検出を行う必要があるため。 HPV検出のためのPCR試薬、およびハイブリッドキャプチャー2法の施行費用に研究費を使用する。頭頸部癌細胞から癌幹細胞の分離精製と、各種癌幹細胞マーカーの抗体を購入する費用著して研究費を使用する。 次年度は データをまとめて学会発表を行い論文投稿の予定であるがそのためにデータ整理ソフトや投稿費用などに使用する。
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