2014 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌のEGFR標的治療におけるHPV感染と癌幹細胞との相関に関する研究
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24592614
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
藤井 正人 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 部長 (70129633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 廣い 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (40425773) [Withdrawn]
羽生 昇 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 外部研究員 (60365369)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / ヒト乳頭腫ウイルス / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
舌癌症例で、舌部分切除のみを行ったstage I/II舌扁平上皮癌症例50例の臨床検体の腫瘍細胞核において癌幹細胞のマーカーであるOct3/4とNanogの発現を免疫組織化学染色にて評価し,後発頸部リンパ節転移(delayed neck metastasis: DNM)との相関を検討した。DNMは13例に認められ、Oct3/4の発現(p=0.001)、Nanogの発現(p=0.001)、との間に有意な相関が認められた。臨床病理組織学的因子ではvascular invasion(p=0.009), mode of invasion (3, 4 vs 1, 2) (p=0.036), muscular invasion(p=0.010)が単変量解析にてDNMと有意な相関を示した。Logistic regressionによる多変量解析の結果、DNMに対する独立相関因子はOct3/4発現(risk ratio=14.78, p=0.002)とvascular invasion (risk ratio=12.93, p=0.017)であった。これらについて、EGFR発現の有無との相関について検討し、EGFR発現と癌幹細胞との相関について考察する。さらに中咽頭扁平上皮癌症例に対して、癌組織からDNAを抽出してPCRでHPV感染の有無を検討した。その結果、54例に対して27例 50%でHPVが陽性であった。 これらの症例についてEGFR、Oct3/4の発現を検索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌幹細胞マーカーおよびEGFR発現における臨床像との相関に関する検討:舌癌に関して癌幹細胞発現の詳細な検討を行いその臨床経過との相関を検討できた。EGFR発現は90%以上にみられたので今後は、HPV感染との関連を検討していく。EGFR阻害剤による治療を行ってその結果が出てきているのてEGFR標的治療との関連がまもなく明らかになると考えられる。癌幹細胞マーカーに関する基礎的検討に時間を費やしてきたが、今後はHPV関連の症例が増加しており、臨床データによる解析がまもなく行われる。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部癌幹細胞の指標としてOct3/4とNanogは有用な候補となりうる可能性が示唆された。さらにこれらの指標を発現する癌幹細胞様細胞の存在が、細胞遊走能および浸潤能の亢進を介して、リンパ節転移や夜ごとの相関が考えられる点について現在、投稿準備中である。さらに、EGFR、HPV発現との相関をみて本研究の結論を導き出す予定である。
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Causes of Carryover |
頭頸部癌臨床検体を使用して、HPV感染と癌幹細胞の検討を行っているが、解析に関連する作業が遅れていたため試薬の購入量が少なくなった。また PCRを行う回数も少なかったために消耗品費用などの購入量が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多くの検体が集積されており、それらからDNAを抽出してPCR解析を行うための費用、人件費に充てる。また、解析結果を公表するための論文作成も予定している。
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