2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病網膜症における可溶型VAP-1の産生メカニズムとその病態関与
Project/Area Number |
24592615
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 航介 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90296666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 敦宏 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80342707)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 白血球接着分子 / 酸化ストレス / VAP-1 / MMPs |
Research Abstract |
糖尿病網膜症の病態基盤には慢性炎症と酸化ストレスが関与している。Vascular Adhesion Protein (VAP)-1は白血球接着分子および酵素としての機能を有し、炎症と酸化ストレスの双方に関連する興味深い分子である。本研究の目的は、糖尿病網膜症における可溶型VAP-1の産生メカニズムおよびその病態機序への関与を明らかにすることにある。 本年度は、糖尿病網膜症における可溶型VAP-1の産生メカニズムを検討することとした。ラット網膜血管内皮細胞(TR-iBRB2)の培養系を確立し、糖尿病網膜症に類似した環境下での同培養細胞における膜型および可溶型VAP-1の発現変化を調べた。一般に、培養液における糖濃度5.5mMは正常血糖と同等の、25mM以上は高血糖状態と同等の糖負荷と考えられている。糖尿病の病態を想定した細胞刺激として同細胞に糖負荷(25mM)を加えたところ、VAP-1 mRNA発現は増加しなかったが、培養上清中に可溶型VAP-1が増加することが明らかとなった。このことは、糖負荷によって膜型VAP-1蛋白が誘導されるのではなく、既存の膜型VAP-1が切断(shedding)されて可溶型VAP-1として放出されることを示唆していた。 また、糖負荷によって炎症性サイトカインTumor necrosis factor (TNF)-α,interleukin (IL)-1βのmRNA合成が増加するが、これらの炎症性サイトカインで同細胞を刺激しても糖負荷と同様に培養上清中に可溶型VAP-1が増加することも明らかとなった。以上の結果は、糖負荷刺激によって炎症性サイトカインTNF-α,IL-1βの産生が亢進し、その下流で膜型VAP-1のsheddingがおこなわれることを示唆していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度における当初の研究計画は、1)糖負荷刺激(5.5mM, 10mM, 25mM, 50mM)、2)低酸素刺激:(1%O2,20%O2)、3)炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-1β, vascular endothelial growth factor (VEGF))刺激、など糖尿病網膜症の眼内で生じる条件あるいは増加する刺激によって、ラット網膜血管内皮細胞(TR-iBRB2)における膜型VAP-1蛋白の産生亢進が生じるか否かを検討することであった。現時点で、1)糖負荷刺激および3)炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-1β)に関する検討がほぼ終了していること、また次年度の検討項目であった可溶型VAP-1の産生に関しても一部成果が得られていることから、おおむね順調に研究計画は遂行されていると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、各種刺激条件によって生じる可溶型VAP-1増加のメカニズムを検討することである。これまでの検討によって、糖負荷などで可溶型VAP-1が増加するメカニズムとしては、膜型VAP-1の発現は変化しないが、切断(shedding)亢進によって可溶型VAP-1が増加する機序が推定される。その可溶型VAP-1を遊離させる蛋白分解酵素の同定を試みる。糖尿病網膜症の眼内で増加することが知られている蛋白分解酵素、すなわちmatrix metalloproteinases (MMPs)、 urokinase-type plasminogen activator (uPA) 、tissue plasminogen activator (tPA)、ADAM(A Disintegrin And Metalloproteinase)などがその候補として想定される。これらの蛋白分解酵素に対する阻害剤あるいはsiRNAを用いてその分解能を抑制し、可溶型VAP-1産生を担う蛋白分解酵素の同定をおこなう予定である。また、低酸素刺激やVEGFによる刺激が可溶型VAP-1産生に関与するかの検討はまだ終了していないため、並行して同検討もおこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿って、研究費は順調に使用されている。小額の研究費が残存したが、次年度の研究費として繰り越しをおこなった。前述の検討が終了していない平成25年度に施行予定であった実験費用に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Soluble vascular adhesion protein-1 accumulates in proliferative diabetic retinopathy2012
Author(s)
Murata M, Noda K, Fukuhara J, Kanda A, Kase S, Saito W, Ozawa Y, Mochizuki S, Kimura S, Mashima Y, Okada Y, Ishida S.
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Journal Title
Invest Ophthalmol Vis Sci
Volume: 53
Pages: 4055-4062
Peer Reviewed
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