2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592616
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中澤 満 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80180272)
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Keywords | 国際情報交換 / 網膜色素変性 / 網膜疾患 / カルパイン / 視細胞変性 / アポトーシス |
Research Abstract |
網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患の新規治療法として視細胞死に働くとされるミトコンドリアカルパイン-1を標的分子としてこれを特異的に阻害するペプチドを作成した。本研究ではこのペプチドに細胞内移行を効率化させるための修飾ペプチドを付加した合成ペプチドを作成し、網膜色素変性モデル動物にてその効果を検討した。 研究所年度では、網膜色素変性モデルとしてRCSラットを用い、ペプチドを硝子体注射した群と点眼した群に分け、網膜機能の評価に網膜電図を、また網膜形態の評価に組織学的な計測を用いて、両群の網膜保護状況を無処置群と比較した。さらに、網膜視細胞変性の遅延効果については組織標本にTUNEL染色を行って比較した。その結果、硝子体注射群、点眼群ともに網膜電図、網膜厚およびTUNEL染色いずれにおいても網膜視細胞保護効果が証明できた。 第2年度では、網膜色素変性モデルをRCSラットだけでなく、ロドプシン遺伝子変異導入トランスジェニックラット(P23HラットおよびS334terラット)に拡大し、初年度同様にペプチドの硝子体投与と点眼投与の2群で視細胞死の遅延効果を検討した。その結果、初年度同様ロドプシントランスジェニックラットにおいても網膜電図、網膜厚およびTUNEL染色上、硝子体投与群および点眼投与群ともに無処置群に比べて有意に網膜保護効果を表していた。さらに、本年度は点眼効果に着目し点眼により網膜や後眼部および視神経乳頭へのペプチドの送達を免疫組織化学とELISA法の両者を用いて定性的かつ定量的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜色素変性モデル動物としてRCSラットとロドプシンS334terおよびP23Hトランスジェニックラットの3種類の遺伝子変異モデルを使用してカルパインペプチドの視細胞保護効果が実際にあることを検証できた。またいずれのモデル動物においても硝子体内注射のみならず点眼にても視細胞保護効果が認められたことは実際の臨床応用の面でも大変有力な手法となり得ると考えられる。第2年度においてはさらにラットでのペプチド点眼投与における眼内各組織へのペプチドの送達性を時間経過にて観察しえた。
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Strategy for Future Research Activity |
カルパインペプチドがラット網膜変性モデルにおいて点眼投与によっても眼内、とくに後眼部網膜や視神経乳頭付近に移行することが判明した。この効果がラットのような小動物の眼球にのみみられる現象なのか、その他の中型動物やヒト眼球でも起こる現象なのかを今後の研究によって明らかにしたい。また、培養ヒト視細胞由来細胞においてもペプチドが細胞死抑制効果を発揮できるかを実験によって明らかにしたいと考えている。
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