2013 Fiscal Year Research-status Report
角膜ジストロフィーの分子メカニズムに基づく光線力学療法および予防点眼液の開発
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24592618
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加治 優一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50361332)
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Keywords | 角膜ジストロフィー / アミロイド / D-アミノ酸 / チオフラビンT / ラマン顕微鏡 / 光の非線形効果 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で,角膜ジストロフィーはTGFBI遺伝子の変異で生じたタンパク質の断片が凝集することによって生じることを明らかにすることができた.同時に,in vitroにおいて超音波処理・塩化ベンザルコニウム・アミロイドの種seedが,アミロイド凝集を大幅に促進させることを明らかにすることができ,角膜ジストロフィーのin vitroモデルの確立をすることができた.本年度は,この角膜ジストロフィーのin vitroモデルを用いて,変異型TGFBI由来合成ペプチドの偉業凝集化を抑制する薬剤をスクリーニングし,合成することである.我々は変異型TGFBIが異常凝集を起こす際の中心部位をもとに,変異型TGFBIの異常凝集の連鎖をストップさせる合成ペプチドの分子設計を行い,その効果をin vitroで評価することを本年度の最大の目標とした. 1.角膜ジストロフィーを阻害するペプチドを作成し,その効果をin vitroで検証することができた.合成ペプチドは,長さが短いほど角膜実質への移行性が良好なことより,ペプチドの必須配列を検討し,6アミノ酸断片まで短縮することができた. 2.角膜ジストロフィーを阻害するペプチドの,生体内での分解を抑制するために,アミノ酸断端の翻訳後修飾を行った.同時にD-アミノ酸のみを用いてペプチドを合成することにより,生体内で分解されないような角膜ジストロフィー阻害ペプチドを合成することが可能となった. 3.角膜ジストロフィーの変位型遺伝子をノックインすることにより,角膜ジストロフィーを発症させる可能性のあるマウスを作成することに成功した.このマウスは,自然な状態では角膜の混濁を生じることがほとんどないことがわかった.現在,角膜ジストロフィー由来のアミロイドを角膜実質内に注射することにより,角膜混濁が誘発されるかどうかを検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
角膜ジストロフィーのin vitroモデルを有効に活用することにより,世界で初めて角膜ジストロフィーの予防薬となり得る製剤を見いだすことができた.さらに点眼液の製剤かを目指して,合成ペプチドの活性中心の同定に成功した. さらに角膜ジストロフィー由来の遺伝子をノックインしたマウスを作成することに成功した.このマウスについては表現系を現在調査中である. 以上の点より,当初の目標どおり,あるいはそれを上回る達成度を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
角膜ジストロフィー由来の変異遺伝子をノックインしたマウスにおいて,角膜混濁を誘発させる方法を見いだす.具体的にはアミロイド生成におけるseeding theoryに従い,濃縮・精製したアミロイドを角膜実質に注入することにより,角膜実質混濁を誘発させる. このマウスを元に,角膜ジストロフィー阻害ペプチドの効果をin vivoで検証することにより,角膜ジストロフィーの点眼療法を完成させる. さらに,角膜混濁前の状態においても異常凝集タンパク質の同定ができるように,異常凝集型TGFBI由来のラマン散乱スペクトルを計測し,角膜ジストロフィーの発症前に疾患を同定するような細隙灯顕微鏡の開発を試みている.
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