2012 Fiscal Year Annual Research Report
脈絡膜上腔充填剤注入による裂孔原性網膜剥離の新しい低侵襲治療法の開発
Project/Area Number |
24592628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 佑介 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20362717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓶井 資弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40281125)
西田 健太郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員(非常勤) (70624229)
坂口 裕和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80379172)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | マイクロカテーテル / 脈絡膜上腔 / 裂孔原性網膜剥離 / 低侵襲手術 / 粘弾性物質 |
Research Abstract |
白色家兎6羽12眼を用いて改良した直径が500µmのマイクロカテーテルを脈絡膜上腔に挿入し、任意に意図した位置にマイクロカテーテルを移動させ、目的とする粘弾性物質(ヒーロンV)充填剤の注入が出来るかどうかを確認し、対象として反眼に生理食塩水(BSS)を注入することで、比較対照試験を行なった。27ゲージ鈍針で脈絡膜と強膜の間に少しヒーロンVを注入して、強膜・脈絡膜の間を少し開け、その隙間にマイクロカテーテルを意図する位置に向かって挿入する。注入部では粘弾性物質(ヒーロンV)の充填によって網膜が内方に隆起し白くなる。脈絡膜上腔に注入したヒーロンV の形態的な持続効果、網脈絡膜に対する副作用の有無を電気生理機能的な評価と眼球摘出し網脈絡膜組織の免疫組織学的評価を注入後長期に評価した。その結果、ヒーロンVを注入した眼球では生理食塩水を注入した眼球に比較して、脈絡膜上腔の隆起性変化は有意に持続し、その隆起は術後に1~3ヶ月まで持続した。免疫組織切片では網膜形態的な異常変化はなく、網・脈絡膜が隆起している期間tと注入して3ヶ月後の脈絡膜上腔が消失した後の状態では、いずれも摘出眼の網・脈絡膜に形態的変化がなかった。以上の結果から、直径が500µmのマイクロカテーテルを用いた家兎眼における経強膜的に脈絡膜上腔への粘弾物質の注入は手技的に可能であり、全例とも脈絡膜上腔への粘弾物質の注入が成功し、合併症をみられなかったことから、比較的に安全な術式と思われた。今回実験に用いたヒーロンVでは脈絡膜上腔での持続時間は1~3ヶ月であったことを考えると、従来の強膜内陥術でのバックル効果とほぼ同様の内部隆起の持続効果が得られることから、本邦は少なくとも周辺部裂孔による裂孔原性網膜剥離の治療に、従来の強膜内陥術に代わる侵襲の少ない術式として確立出来る可能性示唆された。
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Research Products
(1 results)