2012 Fiscal Year Research-status Report
AMPキナーゼの活性化による網膜色素上皮細胞の老化防止:加齢黄斑変性治療への展開
Project/Area Number |
24592630
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森實 祐基 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50432646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小阪 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40243216)
米澤 朋子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30304299)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 網膜色素上皮細胞 / AMPK |
Research Abstract |
加齢黄斑変性の最大の背景因子は加齢であり、加齢に伴う網膜色素上皮細胞(RPE)の機能低下を原因として網膜の恒常性が破綻し、血管新生や網膜障害が起こる。本研究ではRPEの機能低下をAMPKの活性化によって防止できるかどうかについて検討する。平成24年度は、培養実験系においてRPEに老化を誘導し、老化が細胞の機能に及ぼす影響を検討した。まず、RPEの老化誘導については、培養細胞の継代を繰り返す方法と酸化ストレスを負荷する方法を行った。老化の判定はSA-b-gal染色によって行った。RPEの継代を繰り返すと細胞の形態が変化し、SA-b-gal染色陽性となり老化を誘導することが出来た。また酸化ストレスを負荷する方法については、過酸化水素を用いて酸化ストレスを負荷した結果、一定の濃度、作用時間で細胞の形態が変化とSA-b-gal染色陽性となることがわかった。加齢黄斑変性ではRPEの貪食能が低下し、処理しきれない老廃物がドルーゼンとしてRPEの下に蓄積する。ドルーゼンはやがてRPEのさらなる機能低下や血管新生を誘導するので加齢黄斑変性の前駆病変であると考えられている。また、RPEによる老廃物の貪食には細胞エネルギーが必要である。そこで、ドルーゼンの主成分のアミロイドβの分解酵素であるネプリライシンの発現と細胞エネルギー代謝に重要なグルコースの取り込み能が老化誘導によってどのように変化するかについて検討した。その結果、ネプリライシンについてはこれまでに用いた抗体による検出では老化による影響は明らかではなかった。グルコースの細胞内への取り込みについては、老化とともに減少することが明らかになった。これらの成果は、次年度以降の研究の基盤となる重要な成果であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜色素上皮細胞の老化誘導の確立に時間を要したが、平成24年度の成果は次年度以降の研究の基盤となる重要な成果であるといえる。また、細胞機能の内、グルコースの細胞内への取り込みという重要な機能について老化の影響を確認することが出来た。ネプリライシンについては評価方法の変更を要するが可能性のある評価方法は存在するため次年度以降の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に則って、予定通り研究を進める。具体的には老化誘導後の細胞機能について、より多くの評価項目を検討する。評価項目のうち、有意差が認められた機能については、遺伝子導入や薬理学的手法を用いてAMPKを変化させその効果を検討する。また、眼内レーザー照射による血管新生モデルやネプリライシンKOマウスにおけるAMPK活性化の効果についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
網膜色素上皮細胞の老化誘導の方法の確立については、予定していたよりも研究費を必要としなかったため、次年度に繰越した。次年度以降は、細胞や動物眼へのAMPKの遺伝子導入を計画しており、これらに研究費を使用する予定である。
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