2014 Fiscal Year Annual Research Report
眼内悪性リンパ腫の病態解明ならびに新規治療に向けた研究
Project/Area Number |
24592655
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
後藤 浩 東京医科大学, 医学部, 教授 (10201500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 嘉彦 東京医科大学, 医学部, 助教 (50408142) [Withdrawn]
山川 直之 東京医科大学, 医学部, 助教 (80599134)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 眼内悪性腫瘍 / 眼内リンパ腫 / ぶどう膜炎 / サイトカイン / ケモカイン / BCA-1 / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼内リンパ腫は高率に中枢神経系(CNS)リンパ腫を併発するため、生命予後不良な眼疾患であるが、その臨床所見はぶどう膜炎と類似しており、診断に苦慮することがある。診断は主に硝子体を利用した細胞診、免疫グロブリンの遺伝子再構成やフローサイトメトリーによるモノクローナリティーの証明、インターロイキンの測定が行われるが、特にIL-10とIL-6の測定が重要であることを報告してきた。また、眼内リンパ腫とぶどう膜炎群の眼内液性因子を包括的に解析した結果、リンパ腫ではB細胞の増殖に関わるIL-10、bFGF、B細胞の遊走に関連したBCA-1、単球やT細胞およびB細胞の遊走に関連したMCP-1など、さらにVEGFが有意に上昇することを報告し、その後も症例の蓄積による検証を行ってきた。 硝子体中野細胞を用いて染色体およびゲノムの網羅的解析を行ったところ、眼内リンパ腫ではchromosome 1q、18q、19qにコピー数の増加を、chromosome 6q(30%)にコピー数の減少を認めた。Chromosome 1q32.1上にはIL-10遺伝子があり、この染色体異常のある症例では眼内液中のIL-10も有意に高いことを明らかにした。また、硝子体中のIL-10高値の症例は、低値である症例より予後不良であることを明らかにした。一方、uniparental disomy(UPD:片親性ダイソミー)がchromosome 9p, 9q, 10qなどにみられ、これらのゲノムの異常はCNS原発リンパ腫と眼内原発リンパ腫で異なることから、両者はゲノム異常の点では同一ではない可能性が示唆された。しかし、長期的な予後については両群間での明らかな差異を証明するには至っておらず、これらのゲノムの異常が疾患の本質にどこまで関与しているのかは不明と言わざるを得ない。
|
Research Products
(3 results)