2013 Fiscal Year Research-status Report
毛様体のRab8とERMファミリーの相互作用の検討による緑内障病態の解明
Project/Area Number |
24592663
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
木村 至 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 分子細胞生物学研究部, 研究員 (60296663)
|
Keywords | Rab8 / ERM family / Glaucoma / Ocular ciliary body |
Research Abstract |
本研究は、1)Rab8およびERM familyの毛様体における正常な相互作用をサル毛様体上皮の培養細胞にて検討し、Rab8およびERM familyの毛様体上皮培養細胞でのシグナル伝達経路を可能な限り明らかにすること、2)各種条件下でのRab8およびERM familyの相互作用の変化を調べ、それが緑内障の重症度に相関するか検討することに大別される。 Rab8およびERM familyの眼内での相互作用について言及した論文は現在まで視細胞での検討を行った1本だけであり(Deretic D, et al. Mol Biol Cell, 2004)、本研究のテーマにおける毛様体での検討は最初の試みであると考えられる。 現在までにRab8 deficient mouseの眼球切片を作製をし、Rab8およびERM familyの共局在についてRab8 deficient mouse、wild type、毛様体上皮の初代培養細胞について免疫染色を施行し、wild typeと培養細胞において共局在は確認できた。Rab8 deficient mouseの切片では現在までのところERM familyの局在部位について一定の傾向を見出せていない。次に毛様体上皮の初代培養細胞を用いて、培養液に各種薬剤を投与しRab8およびERM familyの発現についてウェスタン解析を行ったが、ステロイドを投与した際に濃度依存的にRab8の発現が抑えられることを見出した。炭酸脱水酵素阻害剤、β遮断薬の投与ではRab8、ERM familyの発現について変化を認めなかった。この結果については追試を行い、再現性を確認した。ここまで英文論文としてまとめ、投稿作業中である。 同様の薬剤投与にてmRNAの発現の変化についてRT-PCRによる解析を進めるべく、細胞培養、プライマー作製を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に取り組む人員および時間が当初予定よりも少ない結果となったため、研究目的の達成度についてはやや遅れていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Rab8およびERM familyの培養細胞における相互作用の検討をより推進するために、以下の解析の実施を進める。 1)培養細胞にCoralHue Fluo-Chase Kit (Amalgaam社)を用いたProtein fragment complementation methodにて標識したRab8およびEarin、Radixin、Moesinをtransfectionし、Rab8とEzrin、Rab8とRadixin、Rab8とMoesinとの相互作用を確認する。 2)上記の組み合わせのうち、相互作用の認められたものに対して、相互作用の整理学的意義を詳細に解析するために、緑内障発症に関与することが予想される種々の因子(酸化ストレス、ステロイド剤添加、圧力、虚血)を与えたときの相互作用および培養細胞への影響を調べる。条件設定に取り組んでいるが、適正な設定ができるようにする。評価方法として、相互作用の程度を検討するための蛍光発色数カウント、細胞形態の観察、アポトーシスを生じた細胞数のカウントを行う予定である。 3)緑内障治療薬として考えられている薬剤でまだ使用していない薬剤を上記2)の条件下に培養液中に投与し、相互作用および培養細胞への影響を調べる。具体的には、眼圧下降薬として、毛様体筋収縮による線維柱帯網開大により房水流出抵抗を減弱させる副交感神経刺激薬、ぶどう膜強膜流出路からの房水流出促進を図ると考えられているプロスタグランジンF2α誘導体、α遮断薬、カルシウム拮抗薬、NMDA拮抗薬を投与し、検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に取り組む研究員が当初予定より少なくなったため、研究計画の実施がやや遅れ気味になっており、次年度使用額が生じる結果となった。 研究計画の実施のために平成26年度はスタッフの拡充を図り、今まで以上にエフォートを上げて本研究への取り組みを実施してゆく。
|
Research Products
(25 results)