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2012 Fiscal Year Research-status Report

加齢黄斑変性感受性遺伝子トランスジェニックマウスを用いた環境リスク因子の解析

Research Project

Project/Area Number 24592664
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research Institution独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)

Principal Investigator

中山 真央  独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 分子細胞生物学研究部, 研究員 (20624810)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords眼分子生物学 / 眼生化学
Research Abstract

本研究では加齢黄斑変性の感受性遺伝子の中でも最もp値の低いARMS2/HTRA1に注目し、マウスの全身でARMS2、HtrA1をそれぞれ強制発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、生後12か月の蛍光眼底造影や光干渉断層を観察し、正常対象群(Wt)と比較した。眼底異常が観察された個体の網膜切片を作製し、HE染色および血管内皮細胞と線維芽細胞マーカーを用いた蛍光免疫染色により観察したところ、全身発現したHtrA1 Tgマウスのうち約18.18%の個体について、これまで報告されていない網膜へ放射状に伸びる脈絡膜血管新生が観察された。次に、眼底観察で網膜異常を認められなかった12ヶ月齢のARMS2、HtrA1 Tgマウスおよび対照群Wtマウスは喫煙暴露実験を行った。M.I.P.S社のタバコ主流煙発生装置を利用して1日30分、週5日、12週間を続く喫煙暴露させ後、HtrA1 TgおよびWtマウスは新生血管を誘導された。さらに、HtrA1 Tgマウスのうち約20%の個体は視細胞形態の乱れ、網膜色素上皮細胞に沈着物の蓄積など網膜の異常が観察された。
これらの結果によると、全身で発現しているHtrA1 Tgマウスは直接的に脈絡膜血管新生が誘導され、HtrA1は日本人で多く見られる滲出型加齢黄斑変性との強い相関が示唆された。また、環境因子喫煙は遺伝因子と相互作用しさらに加齢黄斑変性の発症リスクを高めていると考えられる。新生血管を伴う黄斑変性症は進行が急速に進み、根本的な治療法も確立されていないのが現状であり、何よりも予防は大切なこととなる。我々の研究成果は疾患の早期発現、環境因子を取り除くことによって加齢黄斑変性を予防あるいは遅延させることと期待できる。また、新生血管を伴う滲出型網膜疾患モデルマウスを確立させることから、将来は疾患の治療及び新薬の開発が期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

加齢黄斑変性(AMD)は多因子疾患と考えられており、複数の遺伝子因子と環境因子によって発症すると考えられる。我々は、日本人に多くみられる滲出型黄斑変性のみを集め、独自に全ゲノム相関解析を行ったところ、染色体10番ARMS2/HTRA1遺伝子領域の遺伝子多型が疾患に相関することを報告してきた。そこで、本研究ではCAGプロモーターを用いて全身発現したARMS2、HtrA1のトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、ARMS2、HtrA1の高発現および喫煙負荷による加齢黄斑変性との相関性を検討することを目的としている。我々は加齢WtマウスとTgマウスの眼底写真および網膜組織像を観察したところ、WtとARMS2 Tgマウスは眼底異常を見出さなかったが、HtrA1 Tgマウスの一部に放射状の脈絡膜新生血管が網膜中に進入していることを見出した。遺伝子HtrA1は滲出型加齢黄斑変性との強い相関が認められ、加齢よりはもっとも重要なAMDリスク因子と示唆された。次に、喫煙負荷を行った後、眼底及び網膜組織像を観察したところ、WtマウスもHtrA1 Tgマウスも脈絡膜新生血管を誘導された。さらに、電子顕微鏡で観察したところHtrA1 Tgマウスの一部に視細胞形態の乱れ、網膜色素上皮細胞の中に沈着物の蓄積、空胞の形成およびブルッフ膜の断裂など網膜の形態異常を見出した。喫煙はAMDの環境リスク因子として遺伝子HtrA1と相互作用しAMDの重篤度をきたすことも示唆された。我々は現在までの研究データをまとめて今年5月にシアトルで開催された国際学会ARVOにポスターで発表した。そして論文も仕上げて現在投稿準備をしている。

Strategy for Future Research Activity

1.加齢黄斑変性の重要な環境リスク因子の一つである肥満について検討するために、HtrA1 Tgマウスに高脂肪食を摂取させ、血管新生との関係を調べる。生後12ヶ月のWtとHtrA1 Tgマウスに高脂肪飼料High Fat Diet 32を16週間連続摂取させ、眼底観察および眼球切片を作製してHE染色や免疫染色によって新生血管の有無を観察する。
2.さらに環境リスク因子である青色光のHtrA1 Tgマウスへの影響を検討するために、生後12ヶ月のWtとHtrA1 Tgマウスにリポフスチンに含まれるA2Eの活性化を誘導する青色光(430 nm LEDランプ)を1日12時間にして照射し、月単位で眼底撮影と自発蛍光眼底撮影を行う。6ヶ月後網膜組織切片を作製して新生血管の発生を確認する。
3.喫煙、肥満、青色光などのリスク因子と血管新生との関係を実験データとして収集し、遺伝因子と環境因子について総合的に検討する。日本人の多くに観察される滲出型加齢黄斑変性の発症機序解明と疾患モデルマウスを確立し、創薬に結びつけたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

動物実験、分子生物学実験関連試薬、消耗品の購入、眼底観察のため小型機器及び部品の購入も考えている。また、共同研究の打ち合わせ及び研究会、学会などを参加するための旅費、論文投稿及び校正するための費用に充てる計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Overexpression of HtrA1 and Smoking Evokes Choroidal Neovascularization and Retinal Deposit in Aged Mice2013

    • Author(s)
      中山 真央
    • Organizer
      ARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)
    • Place of Presentation
      アメリカ・シアトル
    • Year and Date
      20130505-20130509

URL: 

Published: 2014-07-24  

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