2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592671
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近間 泰一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (00263765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高 知愛 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (70314797)
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Keywords | 神経再生 / 神経麻痺性角膜症 |
Research Abstract |
本研究の究極の目的は,角膜移植や角膜屈折矯正手術であるレーシック術後などに生じる角膜神経再生異常に伴う神経麻痺性角膜症に対する新しい角膜神経再生治療法の開発である。そのために,今回は3次元ゲル培養法を用いた神経線維誘導を評価できる培養システ ムの確立とコラーゲンビトリゲルを併用した共培養系を用いて神経細胞と角膜細胞(上皮細胞,実質細胞)との相互作用および調節機構を探索することを目的とする。 本年度は,1)3次元ゲル内培養法の確立と神経線維誘導因子の検討と2)神経細胞と角膜細胞の共培養システムの確立を予定していたが,コラーゲンゲル内で神経細胞(ラットの三叉神経細胞あるいはPC12)が安定して培養できる条件の決定において,ゲル内での培 養条件が不安定で培養法の確立に至っていない。しかしながら,培養条件および方法に変更を加えてPC12に対して神経成長因子であるNerve Growth Factor (NGF)の神経線維伸長の影響を観察したところ神経線維の伸長にNGFの濃度勾配による神経線維の誘導が観察された。今後,条件確立後に種々の誘導因子を用いて,神経線維伸長を顕微鏡下で観察・定量化し評価する予定である。一方,神経細胞と角膜上皮細胞の共培養では,株化神経細胞(PC12)に加えて三叉神経節細胞においてもin vitro系で角膜細胞と共培養を試み,その両者の共培養に成功した。また,これらの神経細胞の存在下では,サブスタンスPやCGRPと同様に,角膜上皮細胞の重層化の促進が観察された。 以上より,この研究で見出した共培養系を応用し,3次元ゲル培養に展開することで,生体内の環境に近づけることが可能になり,神経麻痺性角膜症や様々な角膜疾患に対する新しい治療法の開発に結び付く可能性を期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は現在までやや遅れていると自己評価している。 神経細胞の3次元ゲル培養の条件設定が困難な中,ゲル内培養法の変更によりPC12に対して神経成長因子であるNerve Growth Factor (NGF)の神経線維伸長の影響を観察したところ神経線維の伸長にNGFの濃度勾配による神経線維の誘導が観察された。 一方で,神経細胞と角膜上皮細胞の共培養では,株化神経細胞(PC12)に加えて三叉神経節細胞においてもin vitro系で角膜細胞と共培養を試み,その両者の共培養に成功した。また,これらの神経細胞の存在下では,サブスタンスPやCGRPと同様に,角膜上皮細胞の重層化の促進が観察された。コラーゲン膜を用いた培養系は,株化神経細胞(PC12)と角膜細胞の共培養の確立さらに解析も順調に進んでいる。すでにその内容は学会や雑誌などに発表している。このコラーゲン膜を用いた培養系で得られた情報をもとに,3次元ゲル培養法の確立とその解析と共に神経再生に際して生じる神経線維の走行異常を是正する(神経)因子の同定とその応用に結び付けることが可能であると考えられる。 以上より,この研究で見出した共培養系を応用し,3次元ゲル培養に展開することで,生体内の環境に近づけることが可能になり,神経麻痺性角膜症や様々な角膜疾患に対する新しい治療法の開発に結び付く可能性を期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては,株化神経細(PC12)と神経細胞(三叉神経)を用いて,3次元ゲル内での挙動が最も安定する条件を確立することである。その後,培養下でNGFと同様にどのような因子(神経性因子)により神経細胞が強く反応し,濃度勾配により正常な神経線維走行に近い再生をするかを見出したい。さらに,神経細胞と角膜細胞の共培養系での炎症性サイトカインあるいは成長因子などの変化もBio-Plexなどの手法をもちいて明らかにし,神経の走行をコントロールできる条件を見出したい。この情報が,神経再生時に生じる走行異常の改善に重要な示唆をもたらすものと期待する。また,研究の遂行がやや遅れており期間の延長も考慮している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた実験条件によるデータが不安定で不十分であり,次に予定している実験段階に進めない状況にあるために,予算予定額を下回った。 実験条件の確定を早急に行い,遅れを取り戻すべく速やかに研究を遂行することにより,今年度未執行分の予算と合わせた額が必要となる。
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Research Products
(1 results)