2014 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指した角膜上皮幹細胞のex vivo expansion法の開発
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24592675
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川崎 諭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (60347458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40426531)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膠様滴状角膜ジストロフィ / 不死化 / 幹細胞 / TACSTD2遺伝子 / p53 / Rb / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に判明した高い遺伝子導入効率の必要性を考慮し、ex vivoにて細胞増殖を促進するための低分子剤のスクリーニングを行うこととした。細胞増殖は種々の増殖因子の刺激の後MAPKカスケードなどの増殖シグナルが介在して最終的にE2F転写因子がRbタンパクから解離することで生じる。SV40 large T 抗原などの癌ウイルスタンパクはp53とRbタンパクに結合してE2FとRbの結合を阻害するとともにp53によるアポトーシスや細胞増殖停止、老化のシグナルを抑制することで細胞を不死化に導く。そこでRb-E2Fのタンパク・タンパク相互作用を阻害する低分子剤と既に存在するp53の阻害剤であるpifithrin alfaによって低分子剤により一時的に細胞不死化状態を作り出すことができるものと考えられる。そのためのスクリーニングシステムであるが、Rb、p53に対するshRNA発現ベクターおよびTeT-onシステム上で動作するRbに対するshRNA発現ベクターをレンチウイルスにて細胞に導入する。同時にFucciシステムでのS-G2-M期レポーターであるGeminin-mAzami greenをレンチウイルスにて細胞に導入する。ドキシサイクリン存在下では不死化している細胞に低分子化合物を加え、その後ドキシサイクリンを除去する。低分子剤がRb-E2F相互作用を阻害できれば細胞増殖が継続してFucciによる蛍光が観察できるはずである。今年度はこのシステム構築のために必要なプラスミドの構築を行った。現在必要なプラスミドのうち約半分のクローニングを終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低分子スクリーニングに向けベクターの構築に若干の遅延が生じているもののそれを除いては概ね順調に進行している。スクリーニングのための観察装置や培養装置については設置済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度にはRb-E2Fタンパク相互作用阻害剤のスクリーニングとともにTACSTD2遺伝子をレンチウイルスで導入した後にFACSにてソーティングして角膜上皮シートを作成する実験にも取り組み、一時的な不死化状態の作成による方法と、不死化を必要としない方法の両方について検討し、膠様滴状角膜ジストロフィに対する遺伝子治療の可能性についての最終判断を行う。
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Causes of Carryover |
細胞増殖促進遺伝子のRNAのトランスフェクションによるex vivo expansionは困難であることがわかった。現在、癌抑制遺伝子(主にRbをターゲットとしている。)の低分子阻害剤をスクリーニングする系の構築を行っている。この系の構築に用いる遺伝子をクローニングしてレンチウイルスベクターに組み込む作業を行っているが、思ったように進捗しないため、今回の研究費の未使用額が発生した次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ベクターの構築とレンチウイルスの作成、阻害剤を選出するためのスクリーニング系の確立を行うことを考えている。またp53とRbの阻害剤を除去した後に急速に細胞が老化する可能性が既報から考えられ、それを免れるためのシグナル伝達経路(p38など)の解明をしたいと考えている。そのために、ベクター構築のための分子生物学的試薬類や細胞培養関連試薬、そして老化を抑制するための阻害剤購入に用いる。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] LRIG1 inhibits STAT3-dependent inflammation to maintain corneal homeostasis.2014
Author(s)
Nakamura T, Hamuro J, Takaishi M, Simmons S, Maruyama K, Zaffalon A, Bentley AJ, Kawasaki S, Nagata-Takaoka M, Fullwood NJ, Itami S, Sano S, Ishii M, Barrandon Y, Kinoshita S
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Journal Title
J Clin Invest
Volume: 124
Pages: 385-97
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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