2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592676
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松浦 豊明 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10238959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 哲生 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00364068)
安中 雅彦 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40282446)
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Keywords | レンズフィル / 感温性ハイドロゲル / 調節力 |
Research Abstract |
経過の概要:ナノドメイン構造を持つ感温性ハイドロゲル(E5KC-18)を開発、合成した。構造が安定していて、透明性が高く、細胞毒性がなく、また濃度を変えることで1.40以上の屈折率が得られ操作性も良好である。さらに細胞を用いた、予備実験で生体適合性が非常に優れていることを確認した。そこで実際に家兎での嚢内注入量、嚢の形状と屈折量の調整、後発白内障の程度を調査した。 実験の成果:家兎水晶嚢の元来の容積の約70%を目指してゲルを注入することで一番大きな節作用が水晶体嚢の変化として確認できた。レンズフィルを行った水晶体でも調節による屈折状態の変化が同様に確認できた。シャインプルーフカメラで水晶体の形状変化を画像として初めて記録できた。さらに、カニクイザルの瞳孔括約筋を前もって切開することで副交感神経興奮点眼薬剤による調節作用が水晶体嚢の変化として確認できた。レンズフィルを行った水晶体でも調節による屈折状態の変化が同様に確認できた。同時にレンズフィル状態での高次収差の確認を行った。なお高次収差はHartmann-Shack波面センサー(KR-9000PW, トプコン社製)(奈良医大現有)を用い、角膜、水晶体、そして眼球全体の高次収差を測定した。ゲルのレンズフィルを行った水晶体は高次収差の増加がみられ、その原因はゲルが不均一に水晶体嚢内で網目構造を作ってミクロな不均一状態が生じているのではと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家兎を用いた予備実験では置換手術後6ヶ月では優れた生体適合性を示し、EK5C-40 と水晶体嚢の接着性が高いため後嚢混濁も無く透明性も維持されていた。安定した医療用薬品レベルでの5㎏のロットでのゲルの合成をシステムとして完成した。 その物性(粘弾性、屈折率、光線透過率)および細胞毒性の確認を行い予想以上に完成度が高かった。In vivoの実験として家兎を用いてLens refillingを行い、炎症反応、後嚢白内障から眼内での生体適合性を確認できたことでほぼ予定通りの進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
カニクイザルを用いた評価が調節力の評価には必要であるため(Accommodative Lens Refilling in Rhesus Monkeys Steven A. Koopmans,1Investigative Ophthalmology and Visual Science. 2006;47:2976-2984 )である。これら文献から5歳までの、体重5-7kgの個体が我々の研究には適切と考えている。この条件のカニクイザルを用いて霊長類でのレンズフィルでの調節力の発現を確認、評価する予定である。家兎でのレンズフィルの問題点はゲルのレンズフィルを行った水晶体は高次収差の増加がみられ、その原因はゲルが不均一に水晶体嚢内で網目構造を作ってミクロな不均一状態が生じているのではと考えられた。今後小角エックス線散乱、赤外ラマン分光を用いて原因の分析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水晶体の形状をとらえる、画像処理システムの導入のために以下に記する、ハイビジョン画像解析システムの新製品の市場投入を待ち、待機したため。現在、発注済みである。 1:カールツァイスメディテック社、手術用顕微鏡カメラシステム小型3CMOSフルハイビジョンカメラMKC-230HD 2:23型液晶ワイドディスプレイLCD-MF23 3:パナソニックメモリーカードポータブルレコーダーAR-HMR1OA を用いて、家兎、カニクイザルのレンズフィル術中、術後の水晶体形状を解析予定である。またそのための画像処理専用PCも導入予定である。
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