2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592676
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松浦 豊明 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10238959)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 哲生 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00364068)
安中 雅彦 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40282446)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | Lens refilling / ハイドロゲル / 調節力 |
Outline of Annual Research Achievements |
カニクイザルの眼球光学系は人に近く,薬剤(4%ピロカルピン)を用いることで毛様体筋を緊張また前房深度を減弱させ調節作用を発現できた。家兎の場合と同様に水晶体の形状、後嚢白内障およびゲルの変化は、シャインプルーフカメラ(Nidek社、EAS-1000)、前眼部OCT RTVue-100用の前眼部アダプター(CAM),OPTOVUE社)(奈良医大現有)をもちいて動的な形状変化の解析もおこなうことが可能であった。具体的には、OpTaliX (オプタリクス、Ver8.74) (ドイツOptenso社が開発した光学設計ソフトウェア)を用いた。ハイドロゲルで置換した水晶体の高次収差の解析(周辺光軸散乱光のデータを含む)を演算速度の高いサーバーを用いて行った。その結果ハイドロゲルで置換した人工水晶体は水晶体径3㎜以内では、高次収差が比較的少ないが、3㎜から5㎜の位置では正の高次収差が大きくなり、5㎜以上では不正乱視要素が大きくなり、信頼性の高いデータを取り、解析することが困難であった。また調節時と非調節時の手持ちの赤外線レフラクトメーター(ニコンレチノマックス、奈良医大現有)で他覚的屈折状態も評価することができ、画像解析により、曲率と前房深度、レンズ厚みの変化がその調節力を推定できた。家兎1家兎2のデータを一例として示す。水晶体前面の変化(mm)13.5から12.9 13.4から11.2 水晶体後面の変化(mm)-7.2から-7.3 -9.4から-7.6 水晶体の厚みの変化(mm)4.66から4.73 3.71から3.80 前房深度の変化(mm)3.5から3.4 3.4から3.2 推定される調節力(D)+2.3 +2.5 人間と同じ眼球光学系で調節の仕組みを持つ、霊長類(カニクイザル)でレンズフィルを行い、水晶体の形状に伴って調節力を他覚的に評価できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人間と同じ眼球光学系で調節の仕組みを持つ、霊長類(カニクイザル)でレンズフィルを行い、水晶体の形状に伴って調節力を他覚的に評価できた。シリコンオイル、シリコンゲルでの報告は過去にあるが、ハイドロゲルを用いたものとしては初めてと考えている。 今後、年単位での長期の安定性、調節力の維持の確認は必要であるが、水晶体嚢に物質を注入し形状を保ち生体模倣して調節力を保つ(Lens refilling)がある。我々は素材となるハイドロゲルを開発し、予備実験で生体適合性が非常に優れていることを確認した。そこで実際に家兎での嚢内注入量、嚢の形状と屈折量の調整、後発白内障の程度を調査し、さらにカニクイザルを用いて調節力の確認を行い、臨床応用の可能性を確認することができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらに医療用薬品レベルでの5㎏のロットでのゲルの合成をおこない、物性(粘弾性、屈折率、光線透過率)および細胞毒性の確認を行い、臨床治験を目指している。さらに追加実験として病理組織所見をさらに詳細に確認し、水晶体嚢の進展性と後嚢混濁の所見を調査する。同時に術後のLens refillingを行った水晶体の形状を、眼球光学系全体の中で評価する必要があると考える。その道のりのためには官民共同研究の形式、もしくはベンチャー企業を立ち上げなどを考慮する。それは、視力の回復だけでなく、QOLの向上という観点から調節力の回復が求められている、ハードルの高い目標には到達しにくいと考えるからである。
|
Causes of Carryover |
調節力を持ったハイドロゲル人工水晶体の光線追跡を行い、同時に近軸だけでなく、周辺部の収差を測定するために、専用のサーバーを設置し、計算を行った。その大学内での設置にNTT西日本、また専門のサーバー業者に依頼したため使用額に差額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費、並びに雑費として全額使用予定である。
|
-
[Journal Article] Short-term influence of cataract surgery on circadian biological rhythm and related health outcomes (CLOCK-IOL trial): study protocol for a randomized controlled trial2014
Author(s)
Keigo Saeki1, Kenji Obayashi, Tomo Nishi, Kimie Miyata, Shinji Maruoka, Tetsuo Ueda, Masahiro Okamoto,Taiji Hasegawa, Toyoaki Matsuura, Nobuhiro Tone, Nahoko Ogata and Norio Kurumatani
-
Journal Title
Trials
Volume: 15
Pages: 514-522
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-