2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60199958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光干渉断層計 / 脈絡膜血管 / 加齢黄斑変性 / ドップラー計測 |
Research Abstract |
異常脈絡膜血管の解析をするためには、血流量の定量が重要となる。そこで正常眼3眼を対象に計測を試みた。まず3次元DopplerOCT画像を撮影し、脈絡膜血管の位置を同定した。次に隣接する2枚のB-scanにおける、脈絡膜血管からのDoppler信号および、血管走行角度から、脈絡膜血管の絶対血流速度を算出した。さらに3次元ドップラーOCT画像から脈絡膜血管径を計測し、絶対血流量を算出した。得られた血流量を、同時に計測したパルスオキシメータの指尖波波計と対応させることにより、脈絡膜血管絶対血流量の拍動変化を算出した。計測は各眼それぞれ3ヵ所の脈絡膜血管に対して行った。対象とした全ての脈絡膜血管で、絶対血流量の拍動変化が算出された。収縮期絶対血流速度(平均±標準偏差)は46.9±12.5 mm/s、収縮期絶対血流量は5.9±3.6 µl/min、血管径は70±14 µm であった。3回計測による変動係数は9.3±4.9 %であった。血管分岐前後における血流量の比較では、測定誤差4.0 %であった。この研究により、生体人眼脈絡膜血管における収縮期絶対血流量の計測に世界で初めて成功した。Doppler OCTによる脈絡膜異常血管の3次元構造解析も実施した。まずポリープ状脈絡膜血管症の栄養血管の3次元構造を解析し、脈絡膜から網膜色素上皮下に伸展する状態の観察に成功した。さらに滲出型加齢黄斑変性と近視性黄斑変性に併発した脈絡膜新生血管の描出に成功した。さらに異常血管が抗血管新生療法により退縮していく状態を、Doppler OCTを用いることにより、造影剤なし観察する事に成功した。Doppler OCTでポリープ状脈絡膜血管症の異常血管網を観察する事により、異常血管網の網膜色素上皮剥離内における3次元構造の観察に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脈絡膜血管の収縮期絶対血流量を計測する手法の実証に成功した。これにより脈絡膜血管異常について定量的に解析する手法が確立された。さらに脈絡膜血管異常を有する30眼についてDoppler OCTによる撮影を行った。滲出型加齢黄斑変性や近視性黄斑症に併発する脈絡膜新生血管については、Doppler OCTを用いて、非侵襲的に観察できる事が証明された。また治療前後の変化の観察にも成功し、臨床応用できることが証明された。またポリープ状脈絡膜血管症に関する計測では、異常血管網3次元構造解析に成功した。これによりポリープ状脈絡膜血管症の発症過程を、網脈絡膜3次元構造と対比させて研究する手法が確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた成果の臨床応用を目指し、100眼の計測を目指す。平成24年度に得られた研究成果は手動で行なった。しかし計測の再現性確保および実用化のためには、解析の自動化が必要である。そこで異常血管検出の自動化のために、病態ごとに、最適なフィルターや信号閾値設定を検討し、解析の半自動化を目指す。また対象眼数を増やして解析手法を改良する事により、解析方法の信頼性を向上させる。さらに3次元構造を数値化する手法を開発し、臨床応用に向けたパラメーターの構築を行う。 こうして得られた解析手法を基に、加齢黄斑変性等の各種網脈絡膜疾患の3次元病態解析を実施する。また診断技術、治療効果判定への応用を実施し、臨床応用を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脈絡膜3次元構造を解析プログラムを作成するためのソフトLabViewのライセンス更新料として313,000円が必要となる。さらに解析用コンピューターの新規購入に約20万円が必要である。論文執筆および投稿掲載に関する費用が約30万円、学会発表のための出張費用が約20万円必要となる。その他の消耗品の購入に約10万円が必要となる。
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Research Products
(11 results)