2013 Fiscal Year Research-status Report
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24592682
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60199958)
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Keywords | 網脈絡膜疾患 / 光干渉断層計 / ドップラー計測 / 血管3次元画像 |
Research Abstract |
ドップラーOCTの予備的臨床応用として、黄斑疾患10例11眼に対し計測を行い、成果が学術誌に掲載された(Hong YJ, Miura M,et al. Noninvasive investigation of deep vascular pathologies of exudative macular diseases by high-penetration optical coherence angiography Invest Ophthalmol Vis Sci. 2013;54:3621-31.) 本研究の成果としては、1)ドップラーOCTを用いて脈絡膜新生血管の血管3次元構築が検討可能、2)ドップラーOCTを用いることによりポリープ状脈絡膜血管症の異常血管網が網膜色素上皮内壁に伸展する状態の可視化、3)抗VEGF療法による脈絡膜新生血管の退縮が蛍光眼底撮影と同じ精度で確認可能、等、多岐に渡っている。この予備的研究によって、ドップラーOCTが蛍光眼底撮影の代替検査として応用可能である事が判った。 この予備研究成果をふまえて、2013年8月からドップラーOCTの本格的な臨床運用を開始した。ドップラーOCTは東京医大茨城医療センター眼科外来に設置され、技術者の直接支援なしに、眼科医師および視能訓練士で運用されている。。2014年4月までに延388人の患者に計測を行い、その内訳は糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、近視性黄斑症、網膜静脈閉塞、網膜動脈閉塞、網膜細動脈瘤、等の多岐にわたっている。計測結果は順次解析しており、その研究成果を日本眼科学会総会およびARVOに計6台の演題を投稿して、全て採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドップラーOCTの実用化に関する予備的研究を実施し、ドップラーOCTが蛍光眼底撮影を補完する検査機器として、臨床実用性があることが実証された。またまたドップラーOCTは蛍光眼底撮影と比較して、造影剤を使わない安全な検査、数秒で検査ができる利便性、3次元画像解析が可能、といった優位性があり、次世代眼科診断機器として実用性が高い事も判った。この成果を基に、眼科外来におけるドップラーOCTの本格臨床運用を開始した。このドップラーOCTは、1)100,000 A-scan/secの高速撮影、2)inter B-scan計測による高感度ドップラー計測、3)中心波長1060nmによる脈絡膜撮影、といった網脈絡膜疾患に特化した性能である。この結果、1)ドップラーOCTが通常の眼科外来業務の中で運用可能な事、2)通常の眼科画像検査が可能な患者であればドップラーOCTの撮影が可能である事が判り、ドップラーOCTの臨床実用化への道が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
既に計測した延388人の患者の解析を進める。とりあえずの目標としては、1)糖尿病網膜症の病的血管解析、2)ポリープ状脈絡膜血管症の異常血管解析、を重点的に行い、平成26年度中の論文投稿を目指したい。また、網膜静脈閉塞、網膜動脈閉塞、網膜細動脈瘤、脈絡膜新生血管といった疾患の解析も順次進め、学会発表、論文投稿を目指す。さらに、これらの研究成果を基に、実用化への取り組みを加速させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大容量ハードディスクの購入を予定していたが、未使用額21,965円では不足しているため、次年度予算分として購入延期したため。 大容量ハードディスクの購入費用として約5万円を使用する。それ以外に、脈絡膜3次元構造を解析プログラムを作成するためのソフトLabViewのライセンス更新料として313,000円が必要となる。さらに解析用コンピューターの新規購入、論文執筆および投稿掲載に関する費用、学会発表のための出張費用が必要となる。その他の消耗品の購入に約10万円が必要となる。
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