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2012 Fiscal Year Research-status Report

黄斑疾患の発症機序における網膜幹細胞の関与

Research Project

Project/Area Number 24592685
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionOsaka Medical College

Principal Investigator

池田 恒彦  大阪医科大学, 医学部, 教授 (70222891)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 杉山 哲也  大阪医科大学, 医学部, 講師 (20298764)
栗本 拓治  大阪医科大学, 医学部, 助教 (50388815)
奥 英弘  大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90177163)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
KeywordsリアルタイムPCR / 網膜幹細胞 / 遺伝子 / 黄斑部
Research Abstract

リアルタイムPCRによるサル眼網膜の神経幹細胞関連遺伝子の解析を行った。
1. リアルタイムPCR用プライマーの設計:Nestin,Ki67,CD44, CD133, Notch1 CyclinD1,Chx10, Ephrin A2, Ephrin A3などの神経幹細胞のマーカーに対するアカゲザルNCBI配列情報をもとにPerfect Real Time サポートシステムのアルゴリズムを用いてリアルタイムPCR用プライマーを設計合成した。
2.網膜各部位の採取:アカゲザルを安楽死させた後, 眼球を摘出し, アイカップを作成し, 実体顕微鏡観察下で, 網膜の最周辺部, 赤道部, 中間周辺部, 黄斑部外側, 中心窩の5箇所から各1mm×1mm平方の網膜を採取し,RNAを抽出した。その後,cDNAの合成:前処理後の各検体についてcDNAを合成した。
3. 合成したcDNAを鋳型として、リアルタイムPCR反応を目的遺伝子および標準遺伝子に対して行った。
4. 相対定量値の算出:各サンプルについて、標準遺伝子のQty(SDM) の平均値(Qty Avg.(SDM))を指標に目的遺伝子のQty(SDM) の平均値(Qty Avg.(SDM))を標準化することにより、各サンプル中の目的遺伝子の相対定量値(Rel.Qty(SDM))を算出した。
今回はNestin, PAX6, Sox2についてpreliminaryな実験を行い, 最周辺部, 赤道部, 中心窩の3箇所から採取した網膜に対してリアルタイムPCRを施行した。その結果Nestinでは,最周辺部と中心窩が赤道部に比較して発現が高いといった興味深い結果を得た。PAX6については3者で特に差を認めず, Sox2は周辺部から中心窩に向って発現が減少していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

われわれは網膜の中心窩に幹細胞が存在するのではないかという仮説のもとに,特発性黄斑円孔や特発性黄斑上膜の発症機序に関する研究を継続的に行ってきた。黄斑上膜は中心窩の未分化な細胞がグリア系の細胞に分化増殖した可能性が考えられる。また,特発性黄斑円孔に対する硝子体手術後の経過として,あたかも中心窩の未分化な網膜幹細胞が時間をかけて感覚網膜を構成する各種細胞に分化した後に視機能を獲得しているような印象をうける。我々は, 以前にサル眼から得られた黄斑部近傍,黄斑と赤道部の中間部,赤道部,周辺部の切片に神経幹細胞のマーカーであるネスチンによる免疫染色を施行した。その結果, 中心窩周囲にネスチン陽性細胞が散見された。また,ネスチン陽性細胞の密度を各部位ごとに比較すると,黄斑部でのみ他の部位と比較して有意に高かった。この結果をもとに今回は,培養ミュラー細胞を用いた実験を行った。これは糖尿病黄斑浮腫がなぜ黄斑部に特異的に生じるのかを解明する目的である。ミュラー細胞を未分化にするためにbFGFとIGF-1を培養液中に添加し,そのうえでミュラー細胞におけるヒアルロン酸結合蛋白の遺伝子発現および蛋白の定量を行った。その結果,未分化になったミュラー細胞はヒアルロン酸結合蛋白を遺伝子レベルおよび蛋白レベルで発現することがわかった。これは,黄斑部にヒアルロン酸が増加して,その結果周囲の水を引きつけて黄斑浮腫が生じているのではないかという仮説を支持する結果と考えられた。

Strategy for Future Research Activity

●共焦点レーザー顕微鏡による幹細胞関連因子の免疫染色
サル眼球を摘出後4%パラフォルムアルデヒド溶液を用いて固定する。網膜伸展標本を作製した後、最周辺部, 赤道部, 中間周辺部, 黄斑部外側, 中心窩の5箇所におけるNestin,Ki67,CD44, CD133, Notch1 CyclinD14),Chx10, Ephrin A2, Ephrin A3の発現を免疫組織化学染色により検討する。観察には、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss, LSM510)を用いて行い、Z軸方向に得られた画像を3次元構築した後、各網膜層における発現様式も検討する。中心窩の同定には、抗von Willebrand/factor VIIIあるいは抗CD31抗体を用いた免疫組織化学染色により網膜血管を可視化し、無血管領域内を中心窩(Foveal avascular zone; FAZ)とする
●中心窩における層形成関連シグナルの検討
中心窩における網膜幹細胞による細胞新生を検討するため、新生神経細胞のradial migrationとtangenital migrationに関与するreelin-Dab1とDublecortinの発現や網膜層形成の関与が示唆されているWntシグナル(Wnt2b,βcatenin)の発現を、各部位の網膜から抽出したRNAを用いてreal-time PCRにて検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

●特発性黄斑円孔および特発性黄斑上膜のモデル作成
サル眼の硝子体腔内にキマーゼを複数回投与することで, 中心窩の変化を組織学的に観察する。前述したように我々の以前の研究では,キマーゼ投与により中心窩にTUNNEL染色陽性の細胞が観察され, また黄斑上膜様の組織変化を認めた。この所見は,特発性黄斑円孔および特発性黄斑上膜のモデルとなりうる可能性がある。その際に,中心窩の幹細胞関連遺伝子がどのような動態をとっているのかを,上記のリアルタイムPCRおよび共焦点レーザー顕微鏡で調べる。
●キマーゼ阻害剤の抑制効果
我々が以前から共同研究を行っている大阪医大薬理学教室の高井真司准教授からキマーゼ阻害剤の供与を受けて, 実際に上記のモデル動物の中心窩におけるキマーゼによる変化が抑制できるのか検証する。
未使用分 188,839円を含めて,上記の研究計画にかかわる実験用動物,実験動物飼料,その他試薬などに使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Involvement of P2X7 receptors in retinal ganglion cell death after optic nerve crush injury in rats.2013

    • Author(s)
      Kakurai K, Sugiyama T, Kurimoto T, Oku H, Ikeda T.
    • Journal Title

      Neuro Letters

      Volume: 532 Pages: 237-241

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2012.11.060. Epub 2012 Dec 20

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 臨床所見から考える網膜硝子体疾患の病態と治療

    • Author(s)
      池田恒彦
    • Organizer
      第149回宮崎県眼科医会講習会
    • Place of Presentation
      ホテルスカイタワ-(宮崎県)
    • Invited
  • [Remarks] 大阪医科大学眼科学教室

    • URL

      http://www.osaka-med.ac.jp/deps/opt/index.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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