2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592685
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
池田 恒彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70222891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 哲也 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20298764)
栗本 拓治 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (50388815)
奥 英弘 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90177163)
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Keywords | 網膜幹細胞 / 遺伝子発現 / 黄斑部 / リアルタイムPCR / 黄斑円孔 |
Research Abstract |
●サル眼網膜の各部位におけるに幹細胞関連因子のリアルタイムPCR:サル眼球を4眼,摘出後、網膜伸展標本を作製し、最周辺部, 赤道部, 中間周辺部, 黄斑部外側, 中心窩の5箇所の網膜を1mm×1mmの大きさに採取し,凍結保存した。その後, リアルタイムPCRを用いて各部位におけるNestin,Ki67,CD44, CD133, Notch1,CyclinD14),Chx10, Ephrin A2, Ephrin A3の発現を免疫組織化学染色により再度検討した。Nestinは2眼では中心窩に発現が最も多かったが,他の2眼ではばらつきが大きく, 一定した結果が得られなかった。PAX6については前回と同様に各部位で明らかな差は認めなかった。Sox2についても周辺部から中心窩に向かって発現が減少しており,前回と同様の結果であった。 ●培養ミュラー細胞におけるヒアルロン酸結合蛋白の発現:培養ミュラー細胞にインスリンとbFGFを添加し,未分化な状態にしたうえで,ヒアルロン酸結合蛋白(CD44),VEGFの発現をウエスタンブロットでみた。その結果,インスリン単独,bFGF単独では両者の発現に大きな変化を認めなかったが,インスリンとbFGFを共にに添加した時に,両者の発現が亢進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)サル眼の各部位におけるに幹細胞関連因子のリアルタイムPCRの結果,ややばらつきがみられたが,これは採取時の技術の問題と思われる。サル眼摘出後に実体顕微鏡で,網膜の各部位,特に黄斑部を確実に同定しようと試みたが,ややずれが生じている可能性があり,今後はさらに解像度,拡大率の高い顕微鏡を使用する予定である。また,網膜を採取する時のメスの切れ具合によっても,微妙に採取部位がずれる可能性があるので,ディスポのよく切れるメスを使用する予定である。 培養ミュラー細胞におけるヒアルロン酸結合蛋白の発現は,予想していた通りの結果が得られたが,今後はインスリンおよびbFGFの濃度を変化させて,ヒアルロン酸結合蛋白およびVEGFの発現をみる予定である。また,その他のサイトカインの発現の変化についても検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は到達することが困難であった下記の実験を主体に行う予定である。 ●共焦点レーザー顕微鏡による幹細胞関連因子の免疫染色:サル眼球を摘出後、4%パラフォルムアルデヒド溶液を用いて固定する。網膜伸展標本を作製した後、最周辺部, 赤道部, 中間周辺部, 黄斑部外側, 中心窩の5箇所におけるNestin,Ki67,CD44, CD133, Notch1 CyclinD14),Chx10, Ephrin A2, Ephrin A3の発現を免疫組織化学染色 により検討する。観察には、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss, LSM510)を用いて行い、Z軸方向に得られた画像を3次元構築した後、各網膜層における発現様式も検討する。中心窩の同定には、抗von Willebrand/factor VIIIあるいは抗CD31抗体を用いた免疫組織化学染色により網膜血管を可視化し、無血管領域内を中心窩(Foveal avascular zone; FAZ)とする。 ●特発性黄斑円孔および特発性黄斑上膜のモデル作成:サル眼の硝子体腔内にキマーゼを複数回投与することで, 中心窩の変化を組織学的に観察する。前述したように我々の以前の研究では,キマーゼ投与により中心窩にTUNNEL染色陽性の細胞が観察され, また黄斑上膜様の組織変化を認めた。この所見は,特発性黄斑円孔および特発性黄斑上膜のモデルとなりうる可能性がある。その際に,中心窩の幹細胞関連遺伝子がどのような動態をとっているのかを,上記のリアルタイムPCRおよび共焦点レーザー顕微鏡で調べる。 ●キマーゼ阻害剤の抑制効果:我々が以前から共同研究を行っている大阪医大薬理学教室の高井真司准教授からキマーゼ阻害剤の供与を受けて, 実際に上記のモデル動物の中心窩におけるキマーゼによる変化が抑制できるのか検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度使用した試薬が見積もり量よりも少なくすんだため、購入量が少なく、次年度に繰り越すこととなった。 サル眼の硝子体腔内にキマーゼを複数回投与することで, 中心窩の変化を組織学的に観察する。前述したように我々の以前の研究では,キマーゼ投与により中心窩にTUNNEL染色陽性の細胞が観察され, また黄斑上膜様の組織変化を認めた。この所見は,特発性黄斑円孔および特発性黄斑上膜のモデルとなりうる可能性がある。その際に,中心窩の幹細胞関連遺伝子がどのような動態をとっているのかを,上記のリアルタイムPCRおよび共焦点レーザー顕微鏡で調べる。 我々が以前から共同研究を行っている大阪医大薬理学教室の高井真司准教授からキマーゼ阻害剤の供与を受けて, 実際に上記のモデル動物の中心窩におけるキマーゼによる変化が抑制できるのか検証する。未使用分(148,476円)を含めて,上記の研究計画にかかる実験動物,飼料,試薬などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)