2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592692
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 武 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20406044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡野 雅彦 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20208523)
吉田 英生 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60210712)
光永 哲也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80375774)
坂本 明美 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90359597)
中田 光政 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90375775)
|
Keywords | 制御性T細胞 / 免疫学 / 炎症制御 / サイトカイン / 小児肝胆道疾患 / 胆道閉鎖症 |
Research Abstract |
平成25年度は、胆道閉鎖症(BA)患児10例とcontrol群患児10例の肝組織からRNAを抽出し、局所免疫環境に多大な影響を与えるT細胞subsetに関連する代表的サイトカインと制御性T細胞(Treg)のマスター遺伝子であるFoxP3のmRNA発現レベルを調べた。選択したサイトカインはTh1系がIFNγ、Th2系がIL-4、Th17系がIL-17A、TregがTGF-βである。結果IL-4やIL-17Aは過半数の検体で発現が認められず、IFNγでは両群間での有意差を認めなかった。このことからBAの局所においてはTh1系/Th2系paradigmは病態を説明しうるものでなく、かつTh17系優位の炎症が惹起されている可能性が高いとはいえない。一方、BA群ではcontrol群に比し、TGF-βとFoxP3も発現レベルが有意に高く、BAの病態形成・進展に関与していることが示唆された。 また平成24年度に引き続き、BAの術前患児を中心に末血中単核球のTregの出現頻度(frequency)をflowcytometryで検討中である。CD4、CD25でgatingしCD4+CD25+陽性細胞の頻度を調査しつつあり、preliminaryで施行した検討では日齢32のBA10.3%、3か月肝芽腫8.5%、10歳UC2.5%という結果であった。 さらにこれらと並行しTreg機能を検索する目的でproliferation assayとFITC標識法に着手した。後者はエフェクターT細胞を蛍光色素で標識し、その増殖過程を蛍光強度の変化で把握するもので、実験系が確立すれば前者より迅速かつ簡便に試行できる利点を有する。BA, 年齢対応control, 成人例で比較検討し、現時点ではFITC標識法によるTreg機能解析法が有効な実験系であることが示唆されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BA患児より術前に採取した血液検体を用いたサイトカインプロファイリングでは、特定のT細胞subset(Th1, Th2, Th17)に偏向したした全身性炎症は明らかでない。またTreg関連サイトカインであるIL-10は、control群に比し有意差は生じていない。一方、FACSを用いて単核球中のTreg細胞分画(ここではCD4+CD25+の出現頻度)を分析しているが、術前BA5例とcontrol3例の検討を終えた時点では、BA群で末血Treg頻度の増加を認めている。また、Treg以外の炎症関連リンパ球を除外する目的で、Tregのマスター遺伝子であるFoxP3によるgatingを新たに追加した。 平成25年度は、肝組織中(局所)にみられる炎症の特徴を把握する目的で、各ヘルパーT細胞の代表的サイトカインのmRNA発現レベルを検討した。それによるとTh1系(IFNγ), Th2系(IL-4), Th17系(IL-17A)の発現レベルにはBA群とnon BA群間で有意差は見られておらず、特定のT細胞subsetでcontrolされる炎症とは考えにくい結果であった。一方、Treg関連ではTGF-βとFoxP3の発現はBA群で有意に高値となっており、平成26年度は両者の発現領域の詳細を確認するとともに、門脈域もしくは小葉域での両遺伝子の発現レベルを検討する予定である。 Treg機能の解析には当初proliferation assayを適用する予定であったが、エフェクターT細胞をFITCで標識しFACSでsortingすることでTregの増殖抑制効果を測定することが可能となった。そこで後者を機能解析の主たる方法とし、今後症例数を増やし検討を続ける。
|
Strategy for Future Research Activity |
今までの検討から、BA患児の全身・局所免疫環境下においては炎症を特徴づけるような極端なヘルパーT細胞subsetの偏向は生じていない可能性が高い。しかしながら肝組織を用いた定量的real-time PCRの結果からはTregのfrequencyとその産生サイトカインであるTGF-βの発現は有意に高値であることが示唆されている。平成26年度は、両者の肝内の局在を免疫染色で調べ、門脈域と小葉域における分布の相違を確認する。またCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)、CD8陽性細胞(細胞障害性T細胞)、CD56陽性細胞(マクロファージ)との関係を免疫組織学染色で検討する。さらにTh1, Th2, Th17のマスター転写遺伝子であるT-bet, GATA-3, RORγtを標的に免染をすることで各T細胞subsetとの相互関係が把握できると予想される。 またTregのfrequencyのみでなく機能を把握することも重要と思われ、末血から採取した単核球をCD4, CD25, FoxP3でsortingし、FITC標識法でエフェクター細胞の増殖抑制効果を検討する。さらに肝組織もしくは肝門部リンパ節からTregをsortingし局所に存在するTreg機能を測定する。ただし肝組織からのsortingは相応の肝volumeが必要であると考えられ、肝移植時に標本として提出される摘出肝を用いる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在英語論文の校正を依頼中であるが、納品時期が年度をまたいでおり、それに充てる予定であった諸費用が次年度繰越となった。 英文校正に使用する。
|
-
-
-
-
-
-
[Presentation] The Role of Pediatric ERCP in an Era Stressing Less-invasive Image Modalities.
Author(s)
Takeshi Saito, Hiroyuki Kuriyama, Yasuyuki Higashimoto, Katsunori Kouchi, Hideyo Takahashi, Naomi Ohnuma, Tomoro Hishiki, Tetsuya Mitsunaga, Mitsuyuki Nakata and Hideo Yoshida.
Organizer
46th Annual Meeting of Pacific Association of Pediatric Surgeons (2013)
Place of Presentation
Hunter Valley, NSW, Australia
-
-