2013 Fiscal Year Research-status Report
神経芽腫におけるTrkBを標的とした新規治療薬の探索とその機能解析
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24592703
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中村 洋子 千葉県がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究室, 主席研究員 (60260254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川原 章 千葉県がんセンター(研究所), 研究所, 病院長 (50117181)
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Keywords | 神経芽腫 / TrkB / 低分子化合物 / BDNF / 細胞死 |
Research Abstract |
予後不良な神経芽腫で発現の高い遺伝子TrkB(神経栄養因子受容体)のBDNF (Brain-derived Neurotrophic Facter) が結合する領域を標的分子として、すでに300万個の候補低分子化合物仮想ライブラリーから、インシリコで60個の低分子化合物をスクリーニングした。その結果候補となった低分子化合物の中で、細胞増殖抑制能に影響を与える化合物をさらにスクリーニングし、がん細胞の増殖抑制や分化制御に関わる最適化合物の探索を行い、その作用機序を解明することを目的とした。 昨年度の解析から、化合物処理に伴って細胞増殖抑制能が顕著に認められた化合物は7個であった。また、それはp53を介した細胞死を誘導することが示唆された。さらに、TrkBのBDNF結合領域を低分子化合物とBDNFで競合していると考えられたことより、今年度は、SH-SY5Y/TrkB細胞をBDNFで処理したときのTrkBのリン酸化が低分子化合物処理によりどのような影響を与えるか検討した。その結果、BDNF処理のみでは、TrkBのリン酸化が顕著に認められたが、低分子化合物の存在下でBDNF処理するとTrkBのリン酸化は抑制されることが判明した。従って、TrkBのBDNF結合領域を低分子化合物とBDNFで競合していると考えられた。さらに、低分子化合物処理による神経芽腫細胞への影響は、TrkBのシグナル経路により引き起こされていることが示唆された。また、昨年度、選択した7個の低分子化合物のうち、顕著に細胞増殖抑制能を示した化合物について、原子や官能基を一部変換した低分子化合物を作成し、細胞増殖抑制効果を検討した。その結果、構造を一部変換する前の低分子化合物に比べ、変換した化合物は、細胞増殖抑制効果が大きいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度では昨年度に続き以下のことを行った。 インシリコによってスクリーニングされた低分子化合物は、標的としているTrkBの領域がBDNFの結合する領域であるため、この領域を介して化合物が効いているのか検討を行った。その結果、SY5Y/TrkB細胞をBDNF処理するとTrkBのリン酸化が認められたが、低分子化合物の存在下でBDNF処理をすると、TrkBのリン酸化は抑制されることが判明した。また、低分子化合物の構造を一部変換した化合物は、変換前の化合物に比べ、細胞増殖抑制能が高い傾向にあった。 以上の解析結果より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24-25年度の結果より、抗腫瘍効果の認められた低分子化合物から、より効果的な薬剤を見出すことを目的とし、さらに作用機序について解析を行う。 低分子化合物の原子や官能基を一部変換した化合物が、がん細胞の増殖抑制や分化制御に対してどのような影響を示すか検討する。また、構造を一部変換した低分子化合物に生体毒性がないか、マウスを用いた毒性試験を行う。臨床応用への前段階として進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、構造を一部変換した低分子化合物の生体毒性や薬物動態について解析を行い、さらに組織学的染色等により腫瘍組織の特徴を解析する予定であった。 以上の解析が、まだ途中の段階であり、その分、次年度に繰り越ししたため。 構造(原子や官能基)を一部変換した低分子化合物が、がん細胞の増殖抑制や分化制御に対してどのような影響を示すか検討を行い、 その低分子化合物に生体毒性がないか、マウスを用いた毒性試験を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] NCYM, a Cis-antisense gene of MYCN, encodes a de novo evolved protein that inhibits GSK3β resulting in the stabilization of MYCN in human neuroblastomas2014
Author(s)
Suenaga Y, Islam SM, Alagu J, Kaneko Y, Kato M, Tanaka Y, Kawana H, Hossain S, Matsumoto D, Yamamoto M, Shoji W, Itami M, Shibata T, Nakamura Y, Ohira M, Haraguchi S, Takatori A, Nakagawara A.
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Journal Title
PLoS Genet.
Volume: 10
Pages: e1003996
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dependence receptor UNC5D mediates nerve growth factor depletion-induced neuroblastoma regression.2013
Author(s)
Zhu Y, Li Y, Haraguchi S, Yu M, Ohira M, Ozaki T, Nakagawa A, Ushijima T, Isogai E, Koseki H, Nakamura Y, Kong C, Mehlen P, Arakawa H, Nakagawara A.
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Journal Title
J. Clin. Invest.
Volume: 123
Pages: 2935-2947
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] ALK is a MYCN target gene and regulates cell migration and invasion in neuroblastoma.2013
Author(s)
Hasan MK, Nafady A, Takatori A, Kishida S, Ohira M, Suenaga Y, Hossain S, Akter J, Ogura A, Nakamura Y, Kadomatsu K, Nakagawara A.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 3
Pages: 3450
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Identification of novel candidate compounds targeting TrkB to induce apoptosis in neuroblastoma: in silico screening utilizing a grid computing technology2014
Author(s)
Yohko Nakamura, Akiko Suganami, Mayu Fukuda, MD. Kamrul Hasan, Tomoki Yokochi, Atsushi Takatori, Shunpei Satoh, Tyuji Hoshino, Yutaka Tamura, and Akira Nakagawara
Organizer
ANR2014
Place of Presentation
COLOGNE, GERMANY
Year and Date
20140513-20140516