2014 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織由来多系統前駆細胞を用いた遺伝子導入を伴わない平滑筋再生の基礎的研究
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24592712
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90362780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 晃文 独立行政法人医薬基盤研究所, その他部局等, その他 (10423170)
柿崎 裕彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20329783)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 / 平滑筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らが新規に開発した脂肪組織由来体性幹細胞 :脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMP細胞(adipose tissue-derived multipotent progenitor cell) の採取・単離・培養技術を基盤とし、薬剤加培地で遺伝子操作なしで平滑筋細胞への分化誘導の高効率化を図る。さらに、動物実験にて同細胞を上眼瞼の平滑筋近傍へ注入することにより、平滑筋への分化誘導を検証することを目的として実施した。 最終年度は、前年度までの成果である安定かつ効率的なADMP細胞の採取・分離・培養技術をもとに、得られたADMP細胞の動物上眼瞼への細胞移植実験を主として行った。具体的には、平滑筋前駆細胞の作成、平滑筋前駆細胞の動物の上眼瞼への注入、平滑筋の分化・生着の検討、採取・培養・注入条件の検討を実施し、最適な条件を見出した。 研究期間全体を通じた成果の概要は、皮下脂肪からADMP細胞を単離し、SPC加培地において培養し遺伝子導入なしで平滑筋細胞への分化誘導する技術の最適化と、こうして得られた細胞の動物上眼瞼への細胞移植実験によって、平滑筋細胞への分化と生着・平滑筋組織構築を組織学的・免疫組織化学的な検討を行い、採取・培養・注入条件を最適化したことである。 本研究の成果は、安全で低侵襲な平滑筋機能障害性疾患の治療の開発へと繋がることが期待される。例えば、腹部の皮下脂肪を少量吸引し、遺伝子操作を加えずに薬剤処理したADMP細胞を結膜下へ注入するだけで、先天性・筋原性・老人性眼瞼下垂症、排尿や排便の括約筋などの再建などの平滑筋機能障害に対する革新的な治療の開発である。さらに、平滑筋は多くの内臓や血管等の機能において不可欠であることから、本研究で得られた技術により、様々な臓器再生の材料を供給しうるものになると考えられる。
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