2013 Fiscal Year Research-status Report
2本の血管柄付き末梢神経移植による網膜-視覚中枢投射の再構築
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24592714
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小阪 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40243216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木股 敬裕 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50392345)
若林 毅俊 関西医科大学, 医学部, 准教授 (90302421)
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Keywords | マイクロサージェリー / 髄鞘 / 網膜神経節細胞 / 視神経 |
Research Abstract |
初年度に引き続き、末梢神経移植の成否を評価し、再生視神経数を同定する方法について検討した。代表者は、逆行性標識法として移植片に蛍光色素を標識し、移植片まで到達する再生視神経軸索を持つ網膜神経節細胞を網膜進展標本上で同定した。標識された細胞数を定量することで、再生視神経数を定量化する方法を用いてきた。一方で、順行性に網膜神経節細胞を標識し、再生軸索を視神経標本上で立体的に同定する方法を条件検討した。視神経の末梢から中枢方向の厚みのある標本を作製し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、蛍光ラベルされた視神経を同定した。しかし、視神経の縦軸方向への追跡が難しいだけでなく、視神経の断面あたりへの数学的算出に問題のあることが判明した。したがって、現時点では、順行性標識法よりも、これまで継続して用いてきた逆行性標識法の方が、より正確に視神経再生現象を定量化できると考えている。特に、2本の末梢神経移植法では、再生軸索の走行が移植片内で極めて不均一になる傾向があるため、特に逆行性標識を用いるべきとの考えに至った。 一方で、再生軸索の髄鞘化については、低倍の電子顕微鏡観察を用いて評価を行った。髄鞘化を、①無髄線維、②未成熟な有髄線維、③成熟した有髄線維に分類し、電子顕微鏡写真上でカウントした。総計200本以上の軸索を評価し、1サンプルごとの割合を算出した。血管柄無し移植群と、血管柄付き移植群のそれぞれのサンプルについて、χ2乗検定および残差解析を行うことにより、それぞれのサンプルの髄鞘化の割合に、有意差があるかどうかを統計処理することに成功した。本法は、電子顕微鏡観察によって髄鞘化を1本1本の軸索について明確に評価できるだけでなく、統計処理によってサンプル間の優位差を検出することができ、極めて有意義である。以上の研究成果を踏まえ、最終年度の研究を遂行し、取りまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
手術法の改良について、やや進行に遅れがみられるが、研究全体としては概ね当初の計画通り研究が進行している。1本の血管柄付き末梢神経移植法については、ほぼ研究計画通りに詳細な条件検討が終了し、現在、様々な角度から解析を遂行している。非常に意義深く、近い将来多くの知見が得られるものと確信している。研究期間内に充分に研究計画を達成することができる。2本の血管柄付き末梢神経移植法については、ラットを用いる限り、移植される眼球視神経側の侵襲が大きいばかりでなく、移植片を単離する側の上肢、または下肢の侵襲も大きくなる状況がある。最終年度も重点的に検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り研究を遂行する。手術法の改良については、当初の計画に盛り込んだ対策であるフェレットやウサギに実験材料を変更して研究を遂行する。また、成果の発表について特に時間を割いて取り組んでいく。可能であれば、次年度終了時の研究成果報告書作成時点で、欧文誌に受理されている段階を目指したい。柔軟に計画を変更して、早急に研究成果を欧文誌に公表できるよう、努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共焦点レーザー顕微鏡が、所属機関の共同利用設備として設置されたため、蛍光標識された細胞の検出について、学内で安価に検出することが可能になった。そのため、使用額に差額が生じた。 研究代表者が所属機関を変更したため、新しく研究環境を整備する必要がある。幸い、高額な研究機器については、変更後の研究機関に既設である。また、使用していた機器の一部について移設も行うことができた。比較的低価格の実験機器やディスポーザブル製品、試薬等の消耗品については、新たに購入する必要があるため、物品費として研究費を支出する。また、研究分担者の所属する岡山大学と関西医科大学に出張し、研究成果のレビューを行い、また研究打ち合わせを行うため、国内旅費を計上する。
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Research Products
(4 results)