2013 Fiscal Year Research-status Report
MiR-21とTGFβシグナル経路の相互作用:難治性創傷における重要性
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24592716
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
マドゥエスタ ラダ 宮崎大学, 医学部, 助教 (80381078)
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Keywords | microRNA / 創傷治癒 |
Research Abstract |
本研究では、in vitroおよびin vivoの実験系により、糖尿病性創傷において(a)TGFβシグナル経路がmiR-21発現におよぼす影響、および (b) miR-21がTGFβシグナル経路に及ぼす影響を明らかにするとともに、(c) miR-21の減少と創傷治癒の遷延化の関係について明らかにする。miR-21とTGFβ1シグナル経路の相互作用を調べるために発現促進物質あるいはアンタゴニスト(機能獲得と機能喪失型のアプローチ)を利用し,リアルタイムPCR,遺伝子レポーターアッセイ,電気泳動移動度シフト解析(EMSA)、免疫組織染色法(IHC)およびクロマチン免疫沈降法(CHIP)などの手法により研究を進めている。マウス繊維芽細胞を用いてのin vitro実験により、高糖(high glucose)条件でのmiR-21の発現を調べたところ、発現変更が見られた。高糖条件でTGFβ1プラスミドベクターを細胞内へ導入させることでmiR-21の発現が増加された。TGFβ1によるmiR-21の発現にROSとNFkB転写制御因子が必要であることがわかった。現在、(a)miR-21がTGFβシグナル経路に及ぼす影響,(b)創傷治癒におけるmiR-21-TGFβ相互作用の影響を検定するところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はmiR-21とTGFβファミリーの相互作用を明らかにするとともに、糖尿病性創傷におけるmiR-21-TGFβ相互作用の意義を明らかにする。現在までは計画通りマウス繊維芽細胞を用いてのin vitro実験によりTGFβシグナル経路がmiR-21発現におよぼす影響を知ることができた。高糖条件でTGFβ1によるmiR-21発現上方制御があきらかになった。TGFβ1によるmiR-21の発現にROSとNFkB転写制御因子が必要であることがわかった。TGFβ1刺激によるSmad2/3が活性化され、Smad4と総合し、細胞質から核へと移行することを確認した。さらに、NFkB-p65の活性化と核への移行も確認した。ChiP assayによってNFkB-p65がmiR-21遺伝子のプロモーター領域に総合することも明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画は、(a)miR-21がTGFβシグナル経路に及ぼす影響,(b)糖尿病性創傷におけるmiR-21-TGFβ相互作用の意義を検討することである。 (a)miR-21 発現を過剰あるいはノックダウンされた細胞を持ちいて,免疫組織化学的検査(IHC),Real time PCR および免疫ブロット法によりTGFβファミリー(特にTGFβ1, TGFβR2, SMADs 2, 3, 4, 7)の発現を解析する。TGFβR2 とSMAD7mRNA の3’UTR にmiR-21 と相補的な塩基配列が存在しているため,これらのmRNA がmiR-21 の標的であろうと予想されている。miR-21 結合部位を含む3’UTR 断片あるいはそれの変異型をluciferase vector の中に連結して,そのベクターをmiR-21 発現過剰あるいはノックダウンされた細胞へ導入して,レポーターアッセイにより転写プロモータの活性を測定することでTGFβR2 とSMAD7mRNA がmiR-21 の標的であろうかどうかを確認される。 (b)生体内系により糖尿病性創傷におけるmiR-21-TGFβ相互作用の意義を検討する。我々はこれまで、糖尿病性マウスでは創傷治癒期にmiR-21の発現が正常に比し、低いことを示してきた。この現象が糖尿病創傷治癒におけるTGFβ1の発現低下の原因であるのか、創傷治癒の遷延化に関与しているかを知るために、糖尿病マウスを用いたin vivo実験を行う。マウス皮膚に創傷を生成し、miR-21プラスミドを局所投与し、定時的に創傷周辺組織を採取する。採取した組織を用いて、創傷治癒に関するTGFβファミリーの発現、コラーゲン沈着、再上皮化等を評価する。
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