2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592717
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
上田 和毅 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40160163)
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Keywords | 神経再生 / 末梢神経 |
Research Abstract |
ラットの顔面神経頬骨枝と頬枝をその共通幹からの分岐部周辺で剥離露出し、同一ラットの一側で共通幹の部で切断し再縫合し、(分散Dispersionモデル)、他側では切断した共通幹を頬骨枝のみと縫合した(収束Convergenceモデル)。その後、一定の待機期間(16週)を経た時点で評価を行った(nは各15)。 「評価方法」:神経縫合部の前後で神経標本を採取し、エポン包埋後トルイジンブルー染色を施し、画像解析装置を用いて再生軸索数、軸索再生率、再生軸索短径を測定した。 「結果」:分散モデル群と収束モデル群の間で再生軸索数、軸索再生率、再生軸索短径に関して統計的有意差を認めなかった。 「考察」:今回の実験では長期経過例を検討した。短期経過例では両群の間に差が認められたが、その差は長期経過例では消失した。したがって、神経縫合後の末梢側の神経再生は、最終的には末梢側の元々の軸索受け入れ可能性に負うところが大であると考えられた。つまり神経の断面積が重要であり、神経移植を行う際には末梢側には直径の大きいdonor nerveを選ぶことが望ましいと言える。神経縫合後の軸索再生は供給側の量よりも受容側のcapacityに左右される傾向にあり、中枢側が細い神経であっても末梢側が太ければかなりの機能回復が期待される。臨床的には、顔面神経麻痺の再建において、障害を受けた神経(不全麻痺側の神経)や細い神経にいかに太いfreshなdonor nerveを縫合しても効果が期待されない可能性がある。つまり、近年導入されて盛んに行われるようになった神経信号の付加手技の適応拡大には慎重であるべきかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有意差が出ない、いわゆる”negative をdata”が多いこと、長期経過観察例が必要なこと、から実験検体数ふやすことを強いられている。まだ最終的な結論を発表できるに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
地道に検体数をふやしていくこと。以下の第III実験を急ぐこと。 (III.端側型端々縫合と端々縫合の再生軸索収束の比較検討 ラット顔面において頬筋枝と頬骨枝をその共通幹を含めて剥離し、分岐部を切除し、口径の大きな共通幹と細い頬枝とを縫合するが、顔面の一側においては端側型端々縫合、他側においては端々縫合でおこなった。その後、一定の待機期間(6週、12週)を経た時点で、神経ならびに表情筋の評価を行う(nは各40)。
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Research Products
(1 results)