2012 Fiscal Year Research-status Report
ケロイド発生におけるWnt5aシグナル伝達機構の解明と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
24592722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
M GHAZIZADEH 日本医科大学, 付置研究所, 准教授 (30190979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土佐 眞美子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30301568)
清水 一 日本医科大学, 付置研究所, その他 (60398873)
村上 正洋 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00239500)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Keloid pathogenesis / wound healing / Wnt signaling / Wnt5a / beta-catenin / frizzled4 / ROR2 |
Research Abstract |
【目的】ケロイドは微細な傷から発生し拡大し続ける難治性疾患であり、その治療方法は確立されていない。ケロイド発生に関する分子レベルのメカニズムは、未だ解明には至っていない。Wntシグナル伝達経路が細胞の増殖、分化、生存、進展等に重要な関与を示ししている。本研究の目的は、ケロイド発生におけるWntシグナル伝達機構の解明と分子標的治療への応用である。 【材料と方法】ケロイド組織、ケロイド由来線維芽細胞(KF)、正常皮膚組織、正常皮膚由来線維芽細胞(NF)を使用した。WntファミリーおよびWntシグナル関連遺伝子β-カテニン、リン酸化β-カテニン、全GSK3-β、リン酸化GSK3-β、frizzled4(FZD4)受容体、ROR2受容体の発現を免疫組織化学法、半定量PCR法、ウェスタンブロット法等を用いて解析した。 【結果】免疫組織化学法によるWnt5aの発現は正常皮膚よりケロイド組織に強く見られた。WntファミリーのmRNAレベルの発現解析では、KFにおいてWnt5a の発現が著明に亢進し、Wnt シグナルの重要な標的因子であるβ-カテニンも高く発現していることを確認した。一方、Wntシグナル(β-カテニン非依存的経路)の主要な受容体であるFZD4、ROR2の発現は、蛋白レベルで、NFとKFで有意差を認めなかった。 リコンビナントWnt5aペプチドを添加した結果、β-カテニン、リン酸化β-カテニン(Ser33/37/Thr41)、リン酸化GSK3-βの発現は、NF、KF双方において著明に増加した。その一方で、リン酸化β-カテニン(非依存β-カテニン非依存的経路:Ser45/Thr41)、全GSK3-βの発現はWnt5a添加による影響を受けなかった。 【結語】ケロイド発生において、WntシグナルのWnt5a/β-カテニン経路が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケロイド由来線維芽細胞(KF)と正常皮膚由来線維芽細胞(NF)を培養し、各々にリコンビナントWnt5a蛋白の刺激と抑制実験を行なった。リコンビナントWnt5a刺激、抑制、未投与のKF、NF細胞から蛋白を抽出し、Western blot法およびELISA法を用いて蛋白の解析を行なった結果、ケロイド発生においてWntシグナルのWnt5a/β-カテニン経路が関与している可能性が示唆された。その結果を第一報としてInternational Journal of Medical Sciencesに発表した。また、学会発表も行っており、特に2013年4月米国シカゴで開催された2nd International Conference and Exhibition on Metabolomics & Systems BiologyではBest poster Awardを受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでに得られた結果を発展させWnt5aの機能的解析を詳細に行なう予定である。Wntシグナル伝達経路に関する因子GSK3-β、βカテニンとそれらのリン酸化の定量的解析に着目しWnt5aの誘導および抑制の研究とケロイド細胞のin vitroモデルおよび動物モデルの作成を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Wntシグナル伝達経路に関連する遺伝子の定量的解析とケロイドモデル作成に使用する。
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