2013 Fiscal Year Research-status Report
ケロイド発生におけるWnt5aシグナル伝達機構の解明と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
24592722
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
M GHAZIZADEH 日本医科大学, 付置研究所, 准教授 (30190979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土佐 眞美子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30301568)
清水 一 日本医科大学, 付置研究所, その他 (60398873)
村上 正洋 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00239500)
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Keywords | keloid pathogenesis / wound healing / Wnt signaling / Wnt5a / beta-catenin / frizzeld4 / ROR2 / EMT |
Research Abstract |
【目的】今回の研究目的は、ケロイド発生におけるWntシグナル経路を解析し機能を詳細に検索することである。 【材料と方法】1)ケロイド由来線維芽細胞(KF)および正常皮膚由来線維芽細胞(NF)を分離培養し、リコンビナントWnt5aペプチドで刺激した。それぞれの線維芽細胞のβ-カテニン、リン酸化β-カテニン(Ser33/37/Thr41)、リン酸化GSK3-βをウェスタンブロット法にて解析した。2)免疫染色を用いてケロイドおよび正常皮膚組織のepithelial-mesenchymal transition (EMT)を検索した。 【結果】リコンビナントWnt5aペプチドを添加した結果、β-カテニン、リン酸化β-カテニン(Ser33/37/Thr41)、リン酸化GSK3-βの発現は、NF、KF双方において著明に増加した。その一方で、リン酸化β-カテニン(非依存β-カテニン非依存的経路:Ser45/Thr41)、全GSK3-βの発現はWnt5a添加による影響を受けなかった。また、ケロイド表皮にビメンチン陽性細胞を認めた。 【結語】ケロイド発生において、WntシグナルのWnt5a/β-カテニン経路が関与している可能性が示唆された。また、EMTの可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナル伝達経路に関する因子GSK3-β、βカテニンとそれらのリン酸化の定量的解析に着目しWnt5aの誘導および抑制の研究とケロイド細胞のin vitro解析を行った。リコンビナントWnt5aペプチドを添加した結果、β-カテニン、リン酸化β-カテニン(Ser33/37/Thr41)、リン酸化GSK3-βの発現は、NF、KF双方において著明に増加した。その一方で、リン酸化β-カテニン(非依存β-カテニン非依存的経路:Ser45/Thr41)、全GSK3-βの発現はWnt5a添加による影響を受けなかった。その結果を2013年11月米国シカゴで開催されたInternational Conference on Functional and Comparative Genomics and Pharmacogenomicsで報告した。また、ケロイドにおいては、EMT(epithelial-mesenchymal transition)とWntシグナル伝達の関連は知られてない。これについてケロイドおよび正常皮膚を用いて E―カドヘリン(上皮細胞マーカー)とビメンチン(間葉系細胞マーカー)免疫染色を行った結果、ケロイドの表皮にビメンチン陽性細胞を認めEMTの可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでに得られた結果を発展させ、Wntシグナルの刺激・抑制前後のケロイドおよびケロイド由来線維芽細胞(KF)と正常皮膚由来線維芽細胞(NF)からRNAを抽出し、RT2 Profiler PCR Arrayを用いてWntシグナル経路に関する84遺伝子発現を比較検討する。 ケロイドとEMTの関連性についてさらに深く研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は順調に進み効率の良い結果が得られ、予定より少ない予算で済んだため。 Wntシグナル伝達経路に関連する遺伝子の定量的解析とRT2 Profiler PCR Array解析に使用する。
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Research Products
(2 results)